私×0.5+わたし×0.5=◎


==================
 ■つきをよくする■です
 ■■を■ち■かせる■です
 ■■や■■を■らげる■です
==================

 地元の処方箋薬局に行くのは嫌だったため、さかもとメンタルクリニックで教わった処方箋薬局で、薬を貰って帰った。
 本当にこれが効くのだろうか。
 しかも月曜日から何をすればいいんだ。
 とりあえず朝、親から学校に連絡してもらって、なんだか自分の状態がやばそうな事を伝えよう。

 一回の診察で、病名は付けられないらしく「診断書にはうつ状態の為、就学困難って書いておくね」と先生が言っていた。
 次回は来週の金曜日の午後三時から予約を入れて。って通院決定なのか。なにもかもが一気に嫌になってしまった。

 帰宅して、母とも殆ど口を聞かず、貰った薬を飲んでベッドに入る。
 なんとなく体がほやほやと温まって来て、何も考える事が出来なくなり、いつの間にか寝てしまった。
 そして翌朝、私はベッドから起き上がることが出来なくなっていた。
 立ち上がると眩暈が酷く、視界が朧に霞む。
 うおおい、あの藪医者め。
 死んでしまうと思った。
 私がずっと寝ているものだから猫がやって来て、胸の上でごろごろ言いながら一緒に寝ていた。
 だんだん妖怪のように、その重さを増していく猫に、私はまた、死んでしまうと思った。

 土曜日が過ぎて日曜日が過ぎて月曜日がやって来る。
 親が学校に電話してくれたらしく、担任からは休学の書類についての連絡が来た。
 スマートフォンのアプリを立ち上げようと画面に触れる指さえも震える。
 メニュー画面を開いて、どうやらLINEのトーク画面らしいページまでは辿り着ける。
 それなのに、友達の名前が判別できなかった。
 アイコンそのものを覚えている送信先も、あるにはあるけれど。

 一番目が家族。
 二番目がクラスのグループ。
 三番目が図書委員のグループ。

 メッセージを確認すると八件溜まっていた。
 誰から来たのかどんな内容が書かれてあるのか読めない。

 ■■に■しい■が■■たからさ。■■、■ってみない?

 誰?

 ■■■?■■■って■いし、そろそろお■でもしよーよ。

 誰?

 ■■ださい。■■■た■■■で■■な■が■■います。■■■、■■して■けないでしょうか。■■

 誰? なに?

 と、胡乱に思っているうちに、気がついたら眠ってしまっていたようで、携帯がけたたましく鳴っている音で、起こされた。

「はい」

『安藤!?』

 根崎の声だ。

『やだ、大丈夫? 生きてるの?』

「わりとやばい、生きてないと思う」

『は?』

「私もう駄目だと思う。みんなと同じように、普通に卒業できないかも」

『まだ体調よくなってないの? もしかして流行のノロ? それかコロナ? 手足口病も流行ってるみたい』

「ああ……うん」

『ともかく黒板の日直のところに書いておいたから。休みって』

 その電話を最後にして、根崎と会話する事は二度と無かった。
 私はまず最初に漢字を失い、学校を失い、同時に「普通」の未来を失い、友達を失い、ありとあらゆる社会性を失い、次々に持っていたものを失っていった。

 それでも日々は続いている。残酷だ。