おもろいアイツ。

 人間関係は面倒だ。
 俺は、中学でそれを思い知った。
 人に優しくすれば期待される。気持ちに応えられなければ、『ほんっと、思わせぶりだね』と恨まれる。
 なら、誰とも関わらなければいい。変に目立たなければいい。
 そう思っていた。

 そう思っていたのに――

『よっ、一ノ瀬(いちのせ)
『一ノ瀬、一緒に昼飯食おうぜ』
『一ノ瀬はつれねえな。ま、そこがいいんだけど』
 そんな俺に、アイツはずっと話しかけて来る。どんなに冷たくあしらっても、折れる様子もない。
 そんなやつは、俺の人生でアイツだけだろう。

「なぁ一ノ瀬、今日こそ一緒に帰ろうぜ」
 あぁ俺は、どうしようもなく。
 コイツに、三浦(みうら)(なぎさ)に、狂わされている。