「地球は五分後に巨大隕石の衝突により、終末を迎えるでしょう」
テレビから、淡々とした声が流れた。
空はいつもと変わらず、呑気なほど青い。地球の終わりなんて、微塵も感じさせない。
「……不二家のプリン、食べてなかったな」
亮平は黄ばんだ畳からゆっくりと腰を上げ、冷蔵庫へ向かった。
テレビでは、地球最後の五分間を伝えようとするキャスターが、震える声で何かを話している。けれど、それも長くは続かなかった。
残された時間は、たった五分。
キャスターも、カメラマンも、きっと今ごろ家族や恋人のもとへ向かっているのだろう。
最後くらい、大切な人と過ごしたい。
それがきっと、当たり前なのだ。
亮平には、その「大切な人」がいなかった。
若くして自分を産んだ両親には捨てられた。
誰かに愛された記憶も、誰かを愛した記憶も、ほとんどない。
恋人への愛し方も、友達への接し方も、亮平は知らなかった。
だから、電話をかける相手はいない。
冷蔵庫を開ける。
奥には、昨日買ったプリンがひとつだけ残っていた。
「……あった」
小さく呟いて、亮平はそれを取り出した。
窓を開ける。
青い空の向こうから、何かが近づいているのかもしれない。
けれど、亮平にはそれすら見えなかった。
ただプリンを一口食べて、空を見上げる。
甘い。
最後の五分も、いつもの五分と何も変わらなかった。
テレビから、淡々とした声が流れた。
空はいつもと変わらず、呑気なほど青い。地球の終わりなんて、微塵も感じさせない。
「……不二家のプリン、食べてなかったな」
亮平は黄ばんだ畳からゆっくりと腰を上げ、冷蔵庫へ向かった。
テレビでは、地球最後の五分間を伝えようとするキャスターが、震える声で何かを話している。けれど、それも長くは続かなかった。
残された時間は、たった五分。
キャスターも、カメラマンも、きっと今ごろ家族や恋人のもとへ向かっているのだろう。
最後くらい、大切な人と過ごしたい。
それがきっと、当たり前なのだ。
亮平には、その「大切な人」がいなかった。
若くして自分を産んだ両親には捨てられた。
誰かに愛された記憶も、誰かを愛した記憶も、ほとんどない。
恋人への愛し方も、友達への接し方も、亮平は知らなかった。
だから、電話をかける相手はいない。
冷蔵庫を開ける。
奥には、昨日買ったプリンがひとつだけ残っていた。
「……あった」
小さく呟いて、亮平はそれを取り出した。
窓を開ける。
青い空の向こうから、何かが近づいているのかもしれない。
けれど、亮平にはそれすら見えなかった。
ただプリンを一口食べて、空を見上げる。
甘い。
最後の五分も、いつもの五分と何も変わらなかった。
