・
・【24 辻夫婦】
・
普通、辻夫婦は見せつけるようにまさぐり合ってキスするはずなのに。俺が文句を言うから? いや関係無く、嫌いなヤツの前でこそ、みたいなところあるのに。
ふと、辻夫婦のバッグを見ると、何か四角い箱が入っているようにパンパンになっていた。
もしや!
「オマエら! 倉庫の鍵のスペア持ってんじゃねぇか! んでもって、倉庫の中の中華の素とか盗んでるんじゃねぇだろうなぁ!」
辻夫婦は急に額から脂汗を流し始めながら、
「い! 言いがかりはやめてくれぇぇええええええええ!」
とイク時よりも高音の声で叫んだ。
俺は即座に浦林さんにLIMEした。浦林さんはすぐに裏手に来てくれて、
「どうしたんですか? 佐野さん」
そこで辻夫婦のバッグの話をすると、浦林さんが、
「そのバッグの中身を見せてください。自分で買ったのなら、賞味期限は切れていないし、レシートもありますよね?」
と詰問し、辻夫婦は観念した顔でバッグの中の回鍋肉の素などを浦林さんに見せた。浦林さんは大きな溜息をついてから、
「賞味期限は切れていますね。レシートはどこですか?」
すると辻夫婦のオジサンのほうが、
「あぁもう! 二度と来てやらねぇからな! 人手が欲しくても知らねぇからな!」
と捨て台詞を吐いていなくなった。一日で二度捨て台詞を聞くことなんてあるんだ。
まあ回鍋肉の素も取り返したので、すぐに戻って一郎に渡して、今日の料理は完成した。そのタイミングでいつも通り、ヤンキー風の男子・ジュエルの両親もやって来て、一郎に対して、
「しけたツラ屋さんっ♪」
と言ったので俺はすぐさま、
「そういう意味無い悪口言うんだったら帰ってください」
と言うと、父親のほうが俺を睨んだけども、何も言わず席に着いた。俺にビビってんじゃねぇよ。
回鍋肉の素を使った焼きそばは無事完成し、皿もサーブし終えた。みんな食べ始めて、上がる声も概ね良好っぽい。一郎もホッと一息している。
食事も終えて、帰る人は大体帰る時間になり、ジュエルもジュエルの両親も帰ろうとしているんだけども、帰り際にジュエルの父親が、
「こんな不味いメシで喜んでるヤツがいるなんてな。添加物まみれで病気になるぜ」
とボソッと言い、俺は即座にジュエルの父親の肩を掴んで、
「そういうこと言うならもう来なくていいです」
と俺が言うと、ジュエルの父親は振り向いて、
「当然の権利を行使しているだけだが?」
と煽るように言ってきたんだけども、
「悪口を言うことが当然の権利って、どの世界の人ですか?」
「表現の自由」
「こういうの、表現って言わないです。シンプルに侮辱といいます」
「本当のこと言って喰らっているということ?」
「あっ、侮辱って大体嘘だってこと知らないで育ちましたか?」
「うるせぇ!」
そう言って俺を肩パンしてきたジュエルの父親。浦林さんはもう帰ったし、こんなヤツ、もうやっちまうかと思ったその時だった。
「明日も来てください。また料理を振る舞いますので」
と頭を下げている一郎がいた。俺は呆気にとられているうちに、ジュエルの父親が、
「仲間ビビってんぞーww」
と一郎を指差しながら、後ろ歩きで子供食堂から去って行った。俺は我に返り、一郎へ、
「あんなこと言うから舐められるんだぞ! ここはビシッと言ってやるか! 何なら殴ってやるよ!」
と声を荒らげると、他の高校生たちからも口々に、
「そうですよ! 花田さんは一ミリも悪くありません!」
「あんなヤツ倒してしまえばいいんです!」
「最悪だな、あの家族」
とか言うわけだけども、一郎が堂々とした声で、
「いいえ、ここで暴力にくだってしまったらダメです。佐野くん、難しいかもですが、僕のことを信じてください」
俺の目を見ながら真剣な面持ちでそう言った。
いや、つか、
「俺のことも信じてくれよ。上手くやったからさ」
と少し苛立ちながら言ってしまうと、間に小山が物理的にも入って、
「はい、終わり。佐野、ちょっと頭冷やして。帰っていいよ」
何かまるで邪魔者みたいな扱いをされたので、舌打ちをしてしまうと、一郎が矢継ぎ早にこう言った。
「そうですね、佐野くんにはハッキリ言ったほうがいいですよね。僕が料理で圧倒します。僕にやらしてください」
そうまた頭を下げた。俺は正直ゾクゾクッと鳥肌が立った。料理で圧倒する……? そんなことが、出来るのか? ……否、
「そんなことが出来るんだよな、一郎なら。悪かった。俺が一瞬、一郎のことビビりだと思ってしまった。俺が全て間違っていた。さっきの反応は撤回する」
俺は深々と頭を下げた。小山は少しあわあわしながら、
「料理で圧倒ってどういうこと……えっと、一郎、大丈夫?」
一郎は覇気のある声で、
「大丈夫です。向こうはヒントを出しました。添加物が悪いって。つまり添加物を無くして、美味しい料理を作ればいいんです」
でも、と思って、俺は、
「侮辱は大体嘘だ。嘘ついて不味いって言う可能性もあるぞ」
「それも勿論ありますが、僕は真っ向勝負します」
何か、もう、一郎がめっちゃカッコ良くて、それ以上は何も言えなかった。
次の日、ジュエルはいつも一人で来る時間になっても来なかった。もしかすると、このまま家族ごとバックレかと思ったが、食事の時間にジュエル共々親子でやって来て、
「ビビりちゃん、おつかれーww」
と父親が言った瞬間に一郎が、
「すみません。カウンター席から厨房を見てくれませんか?」
ジュエルの父親はバカにするように、
「一人でおまる出来るかなぁ?」
と言った言葉を丸々無視して一郎は、
「ここにポトフがあります。でも調味料は一切加えていません。これから塩だけを入れます。添加物はゼロです」
するとジュエルの母親のほうが挙手しながら、
「本当に何も入っていないか味見させてーやぁ?」
と鼻で笑いながら言ってきたが、一郎は何も言わず、小皿にスープを入れて渡した。
ジュエルの母親はやたらフーフーしてから、料理しないヤツの熱がりかたでフーフーしてから、そのスープを飲むと、
「いやこれ添加物ありっしょ。塩気は確かに無いけども、ちゃんと甘みあるし」
ジュエルの父親は爆笑しながら、
「嘘ついてんじゃねぇよ!」
と言うと、一郎が、
「その甘みはタマネギやキャベツ、ニンジンなどの野菜の甘みです」
と言ったんだけども、ジュエルの母親は首を横に振って、
「何か塩味の無いキューブのコンソメとかあるんじゃね? そういう簡単に旨くなるのあるんじゃね?」
と言って話にならない。料理しないヤツって本当だしの素系の調味料に夢を見過ぎているよな。そんな使っただけで旨くなる調味料なんてないだろうに。
まさか相手がバカ過ぎて話にならないなんて。すると一郎が、
「分かりました。今からホワイトソースを作ります」
間髪入れずにジュエルの母親が、
「缶でも出すのかよー!」
と吹き出して笑ったわけだけども、一郎は淡々と、
「こちらの米粉と牛乳と塩だけで作ります。あとはそうですね、ではタマネギのホワイトソース煮としましょうか」
と言うと、その場で手際良くタマネギをカットし始めた。
ジュエルの母親は米粉の袋をまじまじと見た。するとジュエルの父親がなんと素手でその米粉の袋に手を突っ込んで、米粉を掴み、口に生で入れたのだ。
小山から「ひょえっ」という声が漏れた。ジュエルの父親は「何も入ってねぇわ、粉っぽだけ」と言った。というかもうその米粉の袋、使えないじゃん。最悪。
牛乳のほうもジュエルの父親が手を伸ばして、直接口をつけて飲んで「普通の牛乳だわ。安いヤツだけどな」と言った。
まあ調味料が入っていない証明にはなったわけだ。一郎はタマネギをオイルを使わずに加熱し始めた。それもナシでいくんだ。
するとジュエルの母親が、
「バター使わないと、ホワイトソースって出来ないらしいよぉ?」
と煽るように言ったんだけども、一郎は冷静に、
「いいえ、バターが無くても牛乳のコクがあるので、美味しく仕上がります」
と言うと、鬼の首をとったように、ジュエルの両親が、
「コクだってさ?w」
「コクとか言ってるw」
「分かった気ぃしてさぁw」
「コクだってwコクw」
と一単語を捉えて、ずっと言っている。あぁ、イジメっ子って本当バカだから、気になった単語を連呼するだけなんだよな。俺もそうだったかも。人間は個体差があるけども、人をバカにするヤツは既に脳内がバカになっているから、一律でこうだよな。
俺は最近一郎に習って料理の勉強もしているので、分かることがある。
それはホワイトソース作りは一発勝負だということ。よく肉じゃがが旨い子は料理が上手いとか言うが、実際はそんなことない。煮込み料理はいくらでも挽回が出来る料理だから、肉じゃがが旨くたって料理が上手いとは限らないのだ。特に、既に皮が剥かれている冷凍のじゃがいもを使っているヤツはなおさらだ。
でも一郎なら完璧にやるんだろうな、とも思う。そのくらい俺は一郎のことを信頼しているから。
一郎はタマネギを炒めている最中に塩の瓶をカウンターに乗せると、案の定、ジュエルの父親は塩を手のひらに振って舐めていた。もうこの時点で一郎に操られているじゃん、とは思った。
その後、一郎はタマネギに米粉を入れて混ぜて、牛乳をちょっとずつ入れて、その都度混ぜて、最後に塩で味付けして完成させた。
・【24 辻夫婦】
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普通、辻夫婦は見せつけるようにまさぐり合ってキスするはずなのに。俺が文句を言うから? いや関係無く、嫌いなヤツの前でこそ、みたいなところあるのに。
ふと、辻夫婦のバッグを見ると、何か四角い箱が入っているようにパンパンになっていた。
もしや!
「オマエら! 倉庫の鍵のスペア持ってんじゃねぇか! んでもって、倉庫の中の中華の素とか盗んでるんじゃねぇだろうなぁ!」
辻夫婦は急に額から脂汗を流し始めながら、
「い! 言いがかりはやめてくれぇぇええええええええ!」
とイク時よりも高音の声で叫んだ。
俺は即座に浦林さんにLIMEした。浦林さんはすぐに裏手に来てくれて、
「どうしたんですか? 佐野さん」
そこで辻夫婦のバッグの話をすると、浦林さんが、
「そのバッグの中身を見せてください。自分で買ったのなら、賞味期限は切れていないし、レシートもありますよね?」
と詰問し、辻夫婦は観念した顔でバッグの中の回鍋肉の素などを浦林さんに見せた。浦林さんは大きな溜息をついてから、
「賞味期限は切れていますね。レシートはどこですか?」
すると辻夫婦のオジサンのほうが、
「あぁもう! 二度と来てやらねぇからな! 人手が欲しくても知らねぇからな!」
と捨て台詞を吐いていなくなった。一日で二度捨て台詞を聞くことなんてあるんだ。
まあ回鍋肉の素も取り返したので、すぐに戻って一郎に渡して、今日の料理は完成した。そのタイミングでいつも通り、ヤンキー風の男子・ジュエルの両親もやって来て、一郎に対して、
「しけたツラ屋さんっ♪」
と言ったので俺はすぐさま、
「そういう意味無い悪口言うんだったら帰ってください」
と言うと、父親のほうが俺を睨んだけども、何も言わず席に着いた。俺にビビってんじゃねぇよ。
回鍋肉の素を使った焼きそばは無事完成し、皿もサーブし終えた。みんな食べ始めて、上がる声も概ね良好っぽい。一郎もホッと一息している。
食事も終えて、帰る人は大体帰る時間になり、ジュエルもジュエルの両親も帰ろうとしているんだけども、帰り際にジュエルの父親が、
「こんな不味いメシで喜んでるヤツがいるなんてな。添加物まみれで病気になるぜ」
とボソッと言い、俺は即座にジュエルの父親の肩を掴んで、
「そういうこと言うならもう来なくていいです」
と俺が言うと、ジュエルの父親は振り向いて、
「当然の権利を行使しているだけだが?」
と煽るように言ってきたんだけども、
「悪口を言うことが当然の権利って、どの世界の人ですか?」
「表現の自由」
「こういうの、表現って言わないです。シンプルに侮辱といいます」
「本当のこと言って喰らっているということ?」
「あっ、侮辱って大体嘘だってこと知らないで育ちましたか?」
「うるせぇ!」
そう言って俺を肩パンしてきたジュエルの父親。浦林さんはもう帰ったし、こんなヤツ、もうやっちまうかと思ったその時だった。
「明日も来てください。また料理を振る舞いますので」
と頭を下げている一郎がいた。俺は呆気にとられているうちに、ジュエルの父親が、
「仲間ビビってんぞーww」
と一郎を指差しながら、後ろ歩きで子供食堂から去って行った。俺は我に返り、一郎へ、
「あんなこと言うから舐められるんだぞ! ここはビシッと言ってやるか! 何なら殴ってやるよ!」
と声を荒らげると、他の高校生たちからも口々に、
「そうですよ! 花田さんは一ミリも悪くありません!」
「あんなヤツ倒してしまえばいいんです!」
「最悪だな、あの家族」
とか言うわけだけども、一郎が堂々とした声で、
「いいえ、ここで暴力にくだってしまったらダメです。佐野くん、難しいかもですが、僕のことを信じてください」
俺の目を見ながら真剣な面持ちでそう言った。
いや、つか、
「俺のことも信じてくれよ。上手くやったからさ」
と少し苛立ちながら言ってしまうと、間に小山が物理的にも入って、
「はい、終わり。佐野、ちょっと頭冷やして。帰っていいよ」
何かまるで邪魔者みたいな扱いをされたので、舌打ちをしてしまうと、一郎が矢継ぎ早にこう言った。
「そうですね、佐野くんにはハッキリ言ったほうがいいですよね。僕が料理で圧倒します。僕にやらしてください」
そうまた頭を下げた。俺は正直ゾクゾクッと鳥肌が立った。料理で圧倒する……? そんなことが、出来るのか? ……否、
「そんなことが出来るんだよな、一郎なら。悪かった。俺が一瞬、一郎のことビビりだと思ってしまった。俺が全て間違っていた。さっきの反応は撤回する」
俺は深々と頭を下げた。小山は少しあわあわしながら、
「料理で圧倒ってどういうこと……えっと、一郎、大丈夫?」
一郎は覇気のある声で、
「大丈夫です。向こうはヒントを出しました。添加物が悪いって。つまり添加物を無くして、美味しい料理を作ればいいんです」
でも、と思って、俺は、
「侮辱は大体嘘だ。嘘ついて不味いって言う可能性もあるぞ」
「それも勿論ありますが、僕は真っ向勝負します」
何か、もう、一郎がめっちゃカッコ良くて、それ以上は何も言えなかった。
次の日、ジュエルはいつも一人で来る時間になっても来なかった。もしかすると、このまま家族ごとバックレかと思ったが、食事の時間にジュエル共々親子でやって来て、
「ビビりちゃん、おつかれーww」
と父親が言った瞬間に一郎が、
「すみません。カウンター席から厨房を見てくれませんか?」
ジュエルの父親はバカにするように、
「一人でおまる出来るかなぁ?」
と言った言葉を丸々無視して一郎は、
「ここにポトフがあります。でも調味料は一切加えていません。これから塩だけを入れます。添加物はゼロです」
するとジュエルの母親のほうが挙手しながら、
「本当に何も入っていないか味見させてーやぁ?」
と鼻で笑いながら言ってきたが、一郎は何も言わず、小皿にスープを入れて渡した。
ジュエルの母親はやたらフーフーしてから、料理しないヤツの熱がりかたでフーフーしてから、そのスープを飲むと、
「いやこれ添加物ありっしょ。塩気は確かに無いけども、ちゃんと甘みあるし」
ジュエルの父親は爆笑しながら、
「嘘ついてんじゃねぇよ!」
と言うと、一郎が、
「その甘みはタマネギやキャベツ、ニンジンなどの野菜の甘みです」
と言ったんだけども、ジュエルの母親は首を横に振って、
「何か塩味の無いキューブのコンソメとかあるんじゃね? そういう簡単に旨くなるのあるんじゃね?」
と言って話にならない。料理しないヤツって本当だしの素系の調味料に夢を見過ぎているよな。そんな使っただけで旨くなる調味料なんてないだろうに。
まさか相手がバカ過ぎて話にならないなんて。すると一郎が、
「分かりました。今からホワイトソースを作ります」
間髪入れずにジュエルの母親が、
「缶でも出すのかよー!」
と吹き出して笑ったわけだけども、一郎は淡々と、
「こちらの米粉と牛乳と塩だけで作ります。あとはそうですね、ではタマネギのホワイトソース煮としましょうか」
と言うと、その場で手際良くタマネギをカットし始めた。
ジュエルの母親は米粉の袋をまじまじと見た。するとジュエルの父親がなんと素手でその米粉の袋に手を突っ込んで、米粉を掴み、口に生で入れたのだ。
小山から「ひょえっ」という声が漏れた。ジュエルの父親は「何も入ってねぇわ、粉っぽだけ」と言った。というかもうその米粉の袋、使えないじゃん。最悪。
牛乳のほうもジュエルの父親が手を伸ばして、直接口をつけて飲んで「普通の牛乳だわ。安いヤツだけどな」と言った。
まあ調味料が入っていない証明にはなったわけだ。一郎はタマネギをオイルを使わずに加熱し始めた。それもナシでいくんだ。
するとジュエルの母親が、
「バター使わないと、ホワイトソースって出来ないらしいよぉ?」
と煽るように言ったんだけども、一郎は冷静に、
「いいえ、バターが無くても牛乳のコクがあるので、美味しく仕上がります」
と言うと、鬼の首をとったように、ジュエルの両親が、
「コクだってさ?w」
「コクとか言ってるw」
「分かった気ぃしてさぁw」
「コクだってwコクw」
と一単語を捉えて、ずっと言っている。あぁ、イジメっ子って本当バカだから、気になった単語を連呼するだけなんだよな。俺もそうだったかも。人間は個体差があるけども、人をバカにするヤツは既に脳内がバカになっているから、一律でこうだよな。
俺は最近一郎に習って料理の勉強もしているので、分かることがある。
それはホワイトソース作りは一発勝負だということ。よく肉じゃがが旨い子は料理が上手いとか言うが、実際はそんなことない。煮込み料理はいくらでも挽回が出来る料理だから、肉じゃがが旨くたって料理が上手いとは限らないのだ。特に、既に皮が剥かれている冷凍のじゃがいもを使っているヤツはなおさらだ。
でも一郎なら完璧にやるんだろうな、とも思う。そのくらい俺は一郎のことを信頼しているから。
一郎はタマネギを炒めている最中に塩の瓶をカウンターに乗せると、案の定、ジュエルの父親は塩を手のひらに振って舐めていた。もうこの時点で一郎に操られているじゃん、とは思った。
その後、一郎はタマネギに米粉を入れて混ぜて、牛乳をちょっとずつ入れて、その都度混ぜて、最後に塩で味付けして完成させた。



