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・【20 趣味趣向】
・
すぐにジュエルが食べ始めて、俺もがっつくように食べると、亮が、
「佐野さん、いただきます、していないですよ」
俺はあえて大声で、
「心の中でデカい声でやっといたわ!」
と言ったら、案の定、ジュエルと坊主の男子にウケた。そだ、
「坊主のオマエの名前は何? 俺は佐野秀哉ね」
「御坊三助(おぼうさんすけ)!」
「じゃあ三助な」
そんな感じで、味見というか、普通に旨い食事を終えたあたりから、また客がやって来た。
中学生から高校生、何なら大人もいる。一気にドッと増えたので、正直俺は誰が何やら分からない。
すると小山から、
「中学生以上はみんな勉強しかしないから大丈夫。でもあの、ちょっと筋肉質で灰色のTシャツを着た男性、あの人だけはよくチェックしといて」
俺は小山の声量と比例させ小声で、
「何で? お金払わないのか?」
「お金もそうだけども、あの人、ちょっと女子に話し掛けることが多くて、中学生の子からはよく相談を受けるの」
「そんなん出禁にしろよ」
「さすがに出禁ってほどじゃないんだ。本人からしたらコミュニケーションのつもりかもだし。何よりもあの、経営者のあの夫婦がそういう出禁とか好きじゃないみたいで」
「方針的にそう、というわけか。分かった。気を付けておくよ」
俺は頷いて、その筋肉質で灰色のTシャツを着た男性を注視することにした。肌に直接灰色のTシャツを着ているらしく、汗が丸見えで正直不潔に見える。この子供食堂内はエアコンを使っている。だけども、この大広間というか全体を完全に冷やすほど強力なエアコンではないみたいだ。止まっていたら大丈夫だけども、動いていたら少し汗ばむ。
よって厨房で火を使っている一郎は熱そうだ。でも隣の小山がタオルで汗を拭いたりして、しっかりサポートしている。というかサポートってそういうことね。料理のサポートというよりも汗が飛び散らないように、清潔を保つためのヤツね。
それにしても客がたくさん来ている時もあの夫婦は顔すら出さない。どういうつもりなんだ。
すると、明らかに場違いの、スーツを着た男性がやって来て、
「すみません。辻夫妻はいますか?」
すぐに小山が迎えに出てきて、
「いますが、いつも通りです」
「では小山さん、よろしいでしょうか。花田さんは忙しいですもんね」
一郎は即座に「はい、すみません」と言い、そのスーツの男性も「いえいえ」と言った。
俺は小山に近付き、
「誰ですか?」
と言ったところで、そのスーツの男性が、
「おっ、噂の新しいボランティアのかたですねっ。わたくしはイオッコの子供食堂担当、浦林です」
そう言いながら名刺をスマートに取り出して、俺に渡してきた。どうやら客ではないらしい。
小山は俺のほうを見ながら、
「じゃあ浦林さんと佐野はあそこに座って頂いて、佐野に説明してあげてください」
「分かりました!」
「本当は辻さん夫妻が佐野に説明してくれるといいんですけどね。すみません、浦林さん」
何か小山が普通に、大人の男性と会話している。俺とステージが違う感じがして悔しい。でも俺はこれからこの浦林さんという人から説明を受けるらしい。よっしゃ、同じステージに上がれる。
俺は頭を下げて、
「佐野秀哉と言います。よろしくお願いします」
浦林さんは笑顔で、
「おー、さすが一郎さんの御親友ですね。ちゃんと挨拶してくださって。それではこちらに座ってお話させて頂きます」
一郎さんの御親友、俺の事をそんな紹介してくれているの? どっち? 一郎? 小山? それともこの人のアドリブ? 一郎からそう認めてくれていたら嬉しいな。
「浦林さん、説明って何でしょうか?」
「子供食堂の基本的な仕組みです」
「なるほど、座学ということですね」
「そういうことです。何か御質問がありましたら、都度仰って頂ければお話します」
そこから俺は浦林さんから子供食堂の運営について教えてもらった。まず国から助成金がおりている。それで足りない分は、自分たちのようなスーパーであるイオッコや農家の方々から捨てるような食材を分けてもらって料理を作っている、と。本当はもっと細かい話もあるんだろうけども、簡易的で分かりやすく教えてくれた。その会話中、
「佐野さんはバイトとかしたことありますか?」
「あぁ、〇〇スーパーで働いていました」
と言うと、一瞬浦林さんが曇った面持ちになって、俺はそれが気になってしまい、
「何ですか、その顔は」
と返す刀で聞いてしまうと、浦林はハッとしてから、申し訳無さそうな顔で、
「いやいや! 〇〇スーパーはあの、ちょっと、あんまり良い噂を聞かないので、その、大変でした、よ、ね!」
なるほど、じゃあスーパー界隈では有名だったのか。あそこのキモさ。そういうこと、事前に教えてくれる人とかいないのかな。自分で調べるにも限界があるしさ。まあいいや、
「いや俺も最悪でした。〇〇スーパーはもう利用することも嫌です」
「あ、何かすみません。引き出してしまって」
でもそういう扱いのスーパーって知れたことは良かった。俺がかなり悪いほうでもなかったんだな、と思えたから。
浦林さんとのトークはつつがなく終了し、浦林さんとLIMEも交換して、何かあればすぐに相談してほしいと言われた。何だか頼れる大人って感じで、あの夫婦とは違うと思った。
そんな感じで俺の子供食堂ライフがスタートした。基本的に毎日、午後二時頃から俺と一郎と小山は行って、一郎が今日の夕方と夜の分、さらに明日の朝と昼の作り置きを作っていく。
イオッコから捨てられるモノをもらっていると言っても、それはあくまで食材が主で、調味料は同じようなモノ一辺倒だったりする。でも一郎は少ない調味料で多種多様な味を再現し、本当にカッコイイと思った。
小山は小山でまず初めに掃除をし始めるので、いつも古民家は綺麗だ。小山も真面目に仕事をしていて、正直ちゃんとしているな、とは思う。
対するあの夫婦はずっとイチャついているし、何かずっといないし。一度、小山から呼んできてほしいと言われて、指定された部屋に行ったら、普通にセックスしてて踵を返してきた。これが狭い穴の中ってことか。本当に良い得て妙だ。一郎のお笑いセンスは抜群だ。あの夫婦がセックスしていたことを小山に伝えると「でしょ?」と言われて、コイツ確信犯かよ、と思ってしまった。老人のセックスを俺に見せようとすな。
一郎は料理の初心者でも作りやすいレシピを作っておいていくが、それが作られたことはどうやら無さそうだ。
俺は早くから来る子供の世話が主。世話と言っても、むしろ俺が教えてもらっているようなことも多い。
本当に子供の生活は個体差の宝庫で、親が毒親で逃げるためにここへ来ている子もいれば、単純に友達がここにいるから来ている子もいる。
勉強が得意な子、多動的な子、おませで俺に対して「まあ付き合ってあげてもいいけど?」みたいなことを言ってくる女子もいる。淡島は相変わらずつっけんどんでそういうのではない。
料理に興味津々な、坊主の男子・三助はカウンターの席から一郎が料理をしているところを見ていることが多い。すると小山が三助を手招いて、蛇口でしっかり手を洗わせて、ピーラーの使い方を教え始めた。
いや小山が見ている子を俺が見る必要は無い。俺は勉強で悩んでいそうな子に近付いて、勉強を教えたりしている。小学生くらいなら余裕。中学生も全然まだまだ教えられた。
でもその教えることが余裕というのも個体差なんだろうなと思った。
小山からは耳にタコが出来そうなほど、筋肉質で灰色のTシャツを着た男性を見ていてと言われている。というかあの人いつも灰色のTシャツだな。安かったんだろうな。
あの人はあまりにも来るので、俺は小山へ、
「正式なボランティアとして採用するというのも案じゃないか?」
と言うと、小山はキッと顔のパーツを尖らせて、
「ダメ! あの人は女子ばっかりだし!」
でもさすがに大人が小学生や中学生と何かするなんてことないだろ。あんなガキにそういう興味なんて沸かないだろ。太ったオタク系ならまだしも筋肉質で活発っぽいし。
そんなことを思っていると、その灰色のTシャツを着た男性が淡島と手を繋いで、どこかに歩き出したのが見えた。どうやら子供食堂の外に出るみたいだ。
一緒に駄菓子でも買いに行くのかなとか思ったけども、そう言えばこの辺にあんま子供が喜ぶお店とか無いよな。
俺は正直小山の言い分は半信半疑だが、注意してとも言われているので、こっそりついて行った。するとなんと子供食堂の裏手の、木々が生い茂っていて室外機があって、裏に倉庫があるところで、淡島がスカートをめくり、自分からパンツを脱いだのだ!
・【20 趣味趣向】
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すぐにジュエルが食べ始めて、俺もがっつくように食べると、亮が、
「佐野さん、いただきます、していないですよ」
俺はあえて大声で、
「心の中でデカい声でやっといたわ!」
と言ったら、案の定、ジュエルと坊主の男子にウケた。そだ、
「坊主のオマエの名前は何? 俺は佐野秀哉ね」
「御坊三助(おぼうさんすけ)!」
「じゃあ三助な」
そんな感じで、味見というか、普通に旨い食事を終えたあたりから、また客がやって来た。
中学生から高校生、何なら大人もいる。一気にドッと増えたので、正直俺は誰が何やら分からない。
すると小山から、
「中学生以上はみんな勉強しかしないから大丈夫。でもあの、ちょっと筋肉質で灰色のTシャツを着た男性、あの人だけはよくチェックしといて」
俺は小山の声量と比例させ小声で、
「何で? お金払わないのか?」
「お金もそうだけども、あの人、ちょっと女子に話し掛けることが多くて、中学生の子からはよく相談を受けるの」
「そんなん出禁にしろよ」
「さすがに出禁ってほどじゃないんだ。本人からしたらコミュニケーションのつもりかもだし。何よりもあの、経営者のあの夫婦がそういう出禁とか好きじゃないみたいで」
「方針的にそう、というわけか。分かった。気を付けておくよ」
俺は頷いて、その筋肉質で灰色のTシャツを着た男性を注視することにした。肌に直接灰色のTシャツを着ているらしく、汗が丸見えで正直不潔に見える。この子供食堂内はエアコンを使っている。だけども、この大広間というか全体を完全に冷やすほど強力なエアコンではないみたいだ。止まっていたら大丈夫だけども、動いていたら少し汗ばむ。
よって厨房で火を使っている一郎は熱そうだ。でも隣の小山がタオルで汗を拭いたりして、しっかりサポートしている。というかサポートってそういうことね。料理のサポートというよりも汗が飛び散らないように、清潔を保つためのヤツね。
それにしても客がたくさん来ている時もあの夫婦は顔すら出さない。どういうつもりなんだ。
すると、明らかに場違いの、スーツを着た男性がやって来て、
「すみません。辻夫妻はいますか?」
すぐに小山が迎えに出てきて、
「いますが、いつも通りです」
「では小山さん、よろしいでしょうか。花田さんは忙しいですもんね」
一郎は即座に「はい、すみません」と言い、そのスーツの男性も「いえいえ」と言った。
俺は小山に近付き、
「誰ですか?」
と言ったところで、そのスーツの男性が、
「おっ、噂の新しいボランティアのかたですねっ。わたくしはイオッコの子供食堂担当、浦林です」
そう言いながら名刺をスマートに取り出して、俺に渡してきた。どうやら客ではないらしい。
小山は俺のほうを見ながら、
「じゃあ浦林さんと佐野はあそこに座って頂いて、佐野に説明してあげてください」
「分かりました!」
「本当は辻さん夫妻が佐野に説明してくれるといいんですけどね。すみません、浦林さん」
何か小山が普通に、大人の男性と会話している。俺とステージが違う感じがして悔しい。でも俺はこれからこの浦林さんという人から説明を受けるらしい。よっしゃ、同じステージに上がれる。
俺は頭を下げて、
「佐野秀哉と言います。よろしくお願いします」
浦林さんは笑顔で、
「おー、さすが一郎さんの御親友ですね。ちゃんと挨拶してくださって。それではこちらに座ってお話させて頂きます」
一郎さんの御親友、俺の事をそんな紹介してくれているの? どっち? 一郎? 小山? それともこの人のアドリブ? 一郎からそう認めてくれていたら嬉しいな。
「浦林さん、説明って何でしょうか?」
「子供食堂の基本的な仕組みです」
「なるほど、座学ということですね」
「そういうことです。何か御質問がありましたら、都度仰って頂ければお話します」
そこから俺は浦林さんから子供食堂の運営について教えてもらった。まず国から助成金がおりている。それで足りない分は、自分たちのようなスーパーであるイオッコや農家の方々から捨てるような食材を分けてもらって料理を作っている、と。本当はもっと細かい話もあるんだろうけども、簡易的で分かりやすく教えてくれた。その会話中、
「佐野さんはバイトとかしたことありますか?」
「あぁ、〇〇スーパーで働いていました」
と言うと、一瞬浦林さんが曇った面持ちになって、俺はそれが気になってしまい、
「何ですか、その顔は」
と返す刀で聞いてしまうと、浦林はハッとしてから、申し訳無さそうな顔で、
「いやいや! 〇〇スーパーはあの、ちょっと、あんまり良い噂を聞かないので、その、大変でした、よ、ね!」
なるほど、じゃあスーパー界隈では有名だったのか。あそこのキモさ。そういうこと、事前に教えてくれる人とかいないのかな。自分で調べるにも限界があるしさ。まあいいや、
「いや俺も最悪でした。〇〇スーパーはもう利用することも嫌です」
「あ、何かすみません。引き出してしまって」
でもそういう扱いのスーパーって知れたことは良かった。俺がかなり悪いほうでもなかったんだな、と思えたから。
浦林さんとのトークはつつがなく終了し、浦林さんとLIMEも交換して、何かあればすぐに相談してほしいと言われた。何だか頼れる大人って感じで、あの夫婦とは違うと思った。
そんな感じで俺の子供食堂ライフがスタートした。基本的に毎日、午後二時頃から俺と一郎と小山は行って、一郎が今日の夕方と夜の分、さらに明日の朝と昼の作り置きを作っていく。
イオッコから捨てられるモノをもらっていると言っても、それはあくまで食材が主で、調味料は同じようなモノ一辺倒だったりする。でも一郎は少ない調味料で多種多様な味を再現し、本当にカッコイイと思った。
小山は小山でまず初めに掃除をし始めるので、いつも古民家は綺麗だ。小山も真面目に仕事をしていて、正直ちゃんとしているな、とは思う。
対するあの夫婦はずっとイチャついているし、何かずっといないし。一度、小山から呼んできてほしいと言われて、指定された部屋に行ったら、普通にセックスしてて踵を返してきた。これが狭い穴の中ってことか。本当に良い得て妙だ。一郎のお笑いセンスは抜群だ。あの夫婦がセックスしていたことを小山に伝えると「でしょ?」と言われて、コイツ確信犯かよ、と思ってしまった。老人のセックスを俺に見せようとすな。
一郎は料理の初心者でも作りやすいレシピを作っておいていくが、それが作られたことはどうやら無さそうだ。
俺は早くから来る子供の世話が主。世話と言っても、むしろ俺が教えてもらっているようなことも多い。
本当に子供の生活は個体差の宝庫で、親が毒親で逃げるためにここへ来ている子もいれば、単純に友達がここにいるから来ている子もいる。
勉強が得意な子、多動的な子、おませで俺に対して「まあ付き合ってあげてもいいけど?」みたいなことを言ってくる女子もいる。淡島は相変わらずつっけんどんでそういうのではない。
料理に興味津々な、坊主の男子・三助はカウンターの席から一郎が料理をしているところを見ていることが多い。すると小山が三助を手招いて、蛇口でしっかり手を洗わせて、ピーラーの使い方を教え始めた。
いや小山が見ている子を俺が見る必要は無い。俺は勉強で悩んでいそうな子に近付いて、勉強を教えたりしている。小学生くらいなら余裕。中学生も全然まだまだ教えられた。
でもその教えることが余裕というのも個体差なんだろうなと思った。
小山からは耳にタコが出来そうなほど、筋肉質で灰色のTシャツを着た男性を見ていてと言われている。というかあの人いつも灰色のTシャツだな。安かったんだろうな。
あの人はあまりにも来るので、俺は小山へ、
「正式なボランティアとして採用するというのも案じゃないか?」
と言うと、小山はキッと顔のパーツを尖らせて、
「ダメ! あの人は女子ばっかりだし!」
でもさすがに大人が小学生や中学生と何かするなんてことないだろ。あんなガキにそういう興味なんて沸かないだろ。太ったオタク系ならまだしも筋肉質で活発っぽいし。
そんなことを思っていると、その灰色のTシャツを着た男性が淡島と手を繋いで、どこかに歩き出したのが見えた。どうやら子供食堂の外に出るみたいだ。
一緒に駄菓子でも買いに行くのかなとか思ったけども、そう言えばこの辺にあんま子供が喜ぶお店とか無いよな。
俺は正直小山の言い分は半信半疑だが、注意してとも言われているので、こっそりついて行った。するとなんと子供食堂の裏手の、木々が生い茂っていて室外機があって、裏に倉庫があるところで、淡島がスカートをめくり、自分からパンツを脱いだのだ!



