矢紗史から結婚の知らせを受け取った香津世は大喜びでした。内心、自分だけが、結婚に辿り着いて幸せになっているのではないか、と気掛かりだったからです。それにも増して、矢紗史が新婚旅行で、ニューヨークに来るのが待ち遠しくなりました。確かに、1990年頃からは、かなりの円高ドル安となり、日本から米国への旅行者が急増している時期でした。当然、ニューヨークも人気のある観光地の一つでした。
オットーにはすでに矢紗史の事は話してあります。魚屋時代からの友達で、恋人ではない、そして矢紗史自身結婚していて新婚旅行で来ると念を押してあります。それで、オットーも別に気にする様子はなく、喜んでくれました。
矢紗史の旅はすべて旅行会社が準備してくれました。それでも、香津世たちと会えるように、自由時間を十分に組み入れてくれました。香津世とオットーが初めて矢紗史夫婦と会ったのは、ホテルのロビーでした。成田で最後に別れてからほぼ10年の歳月が経っていました。それでも、香津世はすぐに矢紗史を見つけました。すっかり立派な大人になっている矢紗史を見て、涙がこみ上げてきました。そして、その隣には可愛らしい志珠香がしっかりと矢紗史の腕に捕まっています。あー、とても素敵なカップルだ。香津世はそう思わざるを得ませんでした。
そして、香津世には分かりました。矢紗史の目からも涙が零れ落ちそうだったのです。香津世と矢紗史は涙ぐんだ目と目だけで挨拶をしました。そして、お互いの伴侶を紹介しました。オットーは矢紗史に手を差し出したので、矢紗史は慣れない様子でオットーと握手をしました。オットーが矢紗史夫婦に「会えて嬉しい」と言ったのですが、二人とも、わからないようで、微笑んでいるだけでした。それで、オットーと矢紗史夫婦の間は、すべて香津世が通訳をしなければならないと気が付きました。
その後、四人で近くのレストランに行きました。香津世、矢紗史、そしてオットーは交代でいろいろな事を話したのですが、志珠香は一言も話しませんでした。それで、矢紗史が注釈を加えました。
「志珠香はほとんど全く喋らないんだ。耳は良く聞こえて、音楽を聞くのは好きなんだけど。それに、話せない訳ではないんだけど、話したくないんだ。どうしても言わなければならないことがあると、ぼくの耳元で囁くんだ。そうなんで、志珠香の事を分かってあげてね」
香津世は志珠香の方を向いて頷くと、オットーにその事を伝えました。オットーも、「わかったよ。私も、アメリカ人の中では無口な方だから」と。そう言った時には、香津世が大笑いをしてしまい、なかなか通訳が出来ませんでした。
矢紗史夫婦がニューヨーク滞在中の約一週間、二組の夫婦は何回も一緒に時間を過ごしました。ジャズとミュージカルにも一緒に行きました。香津世自身、オットーとデートするようになるまで、あまり観光などしたこともなかったので、良い経験でした。そして、一回は矢紗史夫婦を寿司・華麗に連れて行き、香津世が特別に着物を着て包丁さばきを披露しました。また、セントラルパークで会った時は、都喜夫を連れて行き、芝生でゆっくりとした時間を過ごしました。
ある時、オットーが矢紗史に、どうやって志珠香と出会ったかと聞いたことがあります。これは、香津世も気になっていたことでした。
オットーにはすでに矢紗史の事は話してあります。魚屋時代からの友達で、恋人ではない、そして矢紗史自身結婚していて新婚旅行で来ると念を押してあります。それで、オットーも別に気にする様子はなく、喜んでくれました。
矢紗史の旅はすべて旅行会社が準備してくれました。それでも、香津世たちと会えるように、自由時間を十分に組み入れてくれました。香津世とオットーが初めて矢紗史夫婦と会ったのは、ホテルのロビーでした。成田で最後に別れてからほぼ10年の歳月が経っていました。それでも、香津世はすぐに矢紗史を見つけました。すっかり立派な大人になっている矢紗史を見て、涙がこみ上げてきました。そして、その隣には可愛らしい志珠香がしっかりと矢紗史の腕に捕まっています。あー、とても素敵なカップルだ。香津世はそう思わざるを得ませんでした。
そして、香津世には分かりました。矢紗史の目からも涙が零れ落ちそうだったのです。香津世と矢紗史は涙ぐんだ目と目だけで挨拶をしました。そして、お互いの伴侶を紹介しました。オットーは矢紗史に手を差し出したので、矢紗史は慣れない様子でオットーと握手をしました。オットーが矢紗史夫婦に「会えて嬉しい」と言ったのですが、二人とも、わからないようで、微笑んでいるだけでした。それで、オットーと矢紗史夫婦の間は、すべて香津世が通訳をしなければならないと気が付きました。
その後、四人で近くのレストランに行きました。香津世、矢紗史、そしてオットーは交代でいろいろな事を話したのですが、志珠香は一言も話しませんでした。それで、矢紗史が注釈を加えました。
「志珠香はほとんど全く喋らないんだ。耳は良く聞こえて、音楽を聞くのは好きなんだけど。それに、話せない訳ではないんだけど、話したくないんだ。どうしても言わなければならないことがあると、ぼくの耳元で囁くんだ。そうなんで、志珠香の事を分かってあげてね」
香津世は志珠香の方を向いて頷くと、オットーにその事を伝えました。オットーも、「わかったよ。私も、アメリカ人の中では無口な方だから」と。そう言った時には、香津世が大笑いをしてしまい、なかなか通訳が出来ませんでした。
矢紗史夫婦がニューヨーク滞在中の約一週間、二組の夫婦は何回も一緒に時間を過ごしました。ジャズとミュージカルにも一緒に行きました。香津世自身、オットーとデートするようになるまで、あまり観光などしたこともなかったので、良い経験でした。そして、一回は矢紗史夫婦を寿司・華麗に連れて行き、香津世が特別に着物を着て包丁さばきを披露しました。また、セントラルパークで会った時は、都喜夫を連れて行き、芝生でゆっくりとした時間を過ごしました。
ある時、オットーが矢紗史に、どうやって志珠香と出会ったかと聞いたことがあります。これは、香津世も気になっていたことでした。

