後宮のガリレオ3

 「で、どーなってんのよ」

 「どーなってんの、とは、なんのことでしょう」

 『深(シェン)藍(ラン)宮(きゅう)』、厨(くりや)。日々の雑事に追われている女官たちの憩いの場である。

 かく言う麗麗も、本日の雑事を終え、ようやくひと息ついたところだった。

 厨を預かる女官頭の花里(ファリ)謹製、ほかほかの麻花(揚げ菓子)に舌鼓を打ち、熱く入れた茶で喉を潤していた麗麗のそばに、すすっとすり寄るようにして体を寄せてきたのは同僚の雪(シェエ)梅(メイ)である。

 そのきらっきらに輝く瞳を見て、麗麗は嫌な予感で胸がいっぱいになる。

 「だから、何度も言ってるじゃない!」

 雪梅はふんふんと鼻息を荒くしながら、麗麗の前に置いてあった椀(わん)から麻花をひとつつまみ、口に放り込む。

 「実際のところ、冥焔(メイエン)様とはどうなってんのよって聞いてんの!」

 (やっぱりその話か)

 麗麗もひとつまみ、麻花を口に放り込む。

 じゅわっと染み出る油のうまみを口いっぱいに感じながら、さてどうするかと考えを巡らせた。

 (どうなってんのと言われても、困っちゃうんだよなあ)