笹と川のせせらぎ

冬になり、肌寒さを感じる季節になった。
私は雪国出身なのである程度寒さには耐性がある。
むしろ冬の方が好きだ。
関東ではなかなか降らないけれど、雪が降ったり、夏と違って着込めばどうにかなる。
それになんとなく、ロマンチックでもある。
「ささはどうなんだろう?」
ふと、彼女の姿を見てそう思う。
彼女は患者着の上にピンクのセーターを羽織っていた。
少し寒いのかもしれない。

「ささ、大丈夫?」
「寒い?」
『ん、ちょっとだけ、ね』
『実はちょっと風邪ひいてるっぽくて』

息遣いが少し荒いような気がした。

「わわっ、それは心配だ」

そう言って、彼女のおでこに手を載せ、自分の体温と比べてみた。
たしかに、少し熱っぽさが伝わってきた。
そして同時に、いきなり触ってしまったことへの羞恥が襲ってきた。

「ご、ごめん」
「ちょっと熱があるっぽいね」
「ゆっくり寝ていて?」

彼女は起きていたそうだったが、ゆっくりとベッドに横にさせる。

『大丈夫なのに』
ぷぅーーっと顔を膨らませるが、どこか元気はなかった。
寝かせておいて正解だったかもしれない。

「あんまり無理はよくないよ?」
「身体大事にしなくっちゃ!」
『でも…君が来てくれてるときはうれしくて、さ』
『いっぱいお話したいんだよね』
「大丈夫。寝ていてもお話はできるよ?」

彼女を落ち着かせるようにポンポンと肩を叩く。

『君はいつも気遣ってくれる』
『ありがとうね?』
『君がいてくれなかったら今頃……』

先の言葉を紡ぐことができず、うっうっとむせび泣いてしまった。

「僕はずっと傍にいるよ」
「約束、だよ」

私は自然と左手の小指を差し出していた。

「指切りげんまん!」
『うん…うん…』

指切りしながら涙を流し、そして笑顔を作って笑ってくれた。

『君がいてくれて、ホントによかった!』
『こんなこと、言っていいのかわからないけど…』
『大好き、だよ!』
『いつもそばにいてくれてありがとう』


眩しいくらいの満面の笑顔をお見舞いされた。