笹と川のせせらぎ

ウサギとの触れ合いを名残惜しそうにしつつ、どんぐり広場を後にすると、
気づけばお昼を回っていた。
私たちは座れるところを探すと、木陰で涼しそうな場所にベンチが設置されている場所を見つけたので、
そこでランチタイムに洒落こむことにした。

『君のお弁当、大きいね!』
「ささのお弁当も美味しそうだよ?」
『じゃあ分け合いっこしよ!これちょーだい!』

彼女はお弁当の中身を心底楽しそうに満喫していた。
彼女のお弁当はちっちゃいながらも彩が良く、美味しそうだった。
きっとあまり運動していない期間が続いてるからか、食が細くなってしまっているのかもしれない。
そんな心配をよそに彼女は気づけば私の弁当の大半を半分にし、食べつくしていた。

「わわっ、ささ食べ過ぎ!(笑)」
『ん~?だって美味しいんだもん。あ、これももーらいっ』

そう言ってまた一つ、私の弁当の具材が彼女の胃袋に収められてしまった。

「ささ、食べるのはいいんだけど、そんなに大食いだったっけ?」
『そ、そ、そんなことないよ!大食いだなんて人聞きの悪い!』

彼女は「大食い」と言われ、恥ずかしくなったのか、明らかに動揺していた。
そんな彼女を見るのも楽しいのでおかずを引き換えにいいものを見せてもらったと天に感謝した。

ランチタイムが夫婦漫才のごとく大いに盛り上がり、お弁当を食べつくす頃には、
少しずつ日の光も陰ってきており、電車でも30分くらいする場所だったのでぼちぼち動物園を後にすることにした。
あまり遅くなってしまうと、私もだが、彼女が怒られてしまう。
それはあまりにも申し訳ないので、早く親御さんの元に帰さねばっ

「ささ、そろそろ帰ろっか」
『えー!?もう?』
『でも…そうだね。あまり遅くなったら外出許可が下りなくなっちゃうし、ね』
『また、デート連れてってね?』

彼女は冗談っぽく、しかし、期待をこめてそう言ってきた。

「さささえよければ、また、その…で、デートしたいな」
『じゃあ約束の指切り!』

そう言って、左手の小指を突き出してきた。
私はそれに応じるように左手の小指を差し出し、指切りをした。
彼女の左手にはあのときにプレゼントした指輪が光っていた。


もうすぐ日が沈んでしまう夕日を眺めつつ、私は彼女と手を繋ぎながら電車の駅に向かい、帰路についた。