ささかわが駆けていくのを追いかけるように私も駆ける。
ごめん、訂正。
手を引かれているので「追いかける」ではなく「引っ張られる」ように連行される、に近いだろう。
入院生活が長いというのに依然、元気さは健在のようで、ちょっぴりホッとした。
彼女のはしゃぎっぷりに翻弄されながらも、後ろからついていき、
どんぐり広場という開けた場所でモルモットやウサギと触れ合うことから始まった。
ここでは決まった時間になるとモルモットとウサギが一斉に解き放たれ、触れ合うことができるんだそう。
事前に整理券が必要だったようで、それをもらってから時間になるまで動物園をぶらぶらすることにした。
「ほかになにが見たい?」
『ん~と、近くになら……カワウソいるよ!コツメカワウソ!』
「じゃあそこにいこっか」
『うん!可愛いけど狂暴なんだよ~!』
彼女はとてもウキウキしていた。
彼女の笑顔を見るたび、私も心が躍った。
成り行きとはいえ、入園してからずっと手も繋いでいるのだ。
子供ながらにドキドキもしていた。
「ささが動物好きだったなんて、ホント意外だよ」
『うちね、兄弟姉妹がいなくて…一人っ子なんだ』
『でね、こんな性格じゃない?』
自分を指さし、腕をムキっとする。
『やっぱりその、独りぼっちは寂しくてね』
『だからお父さんがハムスターを連れてきてくれたんだぁ』
『名前はこむぎ!』
『こむぎのお世話してたらいつの間にか動物好きになってたんだよね』
エヘヘ
彼女の心の声を初めて聞いた気がした。
こんなに活発な彼女なのだ。
遊び相手がいないのはやっぱり寂しいんだろうなぁ…と納得した。
「今は…僕がいるよ」
自然と彼女の手を握る力が強くなってしまった。
「僕ができるだけ傍にいるからもう…寂しくないよ!」
そう言ってにこりと笑顔になる。
『そうだね。うん』
『去年、君を助けて…というのも烏滸がましいけど、話しかけてホントによかったなって思ってる。』
『ボク、こんな性格だからなかなか同姓の友達ができなくて……』
『実は保育園のとき、君と遊んだことあるんだけど、覚えてない…よね?』
「えっ!」
いきなり彼女が衝撃的な発言をするものだから、頭が混乱する。
「い、いつだろぅ…」
「ごめん忘れてた…んだね」
『んーん。いいの!ちょっとだけ、だから』
『でも君と遊んだとき、楽しくってね』
『ボクがずっと忘れられなかったんだ』
『きっと君も楽しかったはずなんだよね』
『お別れのお見送りのとき、こっちは自転車で君は歩き』
『ずっと手を振って走って追いかけてきてくれたんだけど、よそ見をしてたから君、壮大に電柱にぶつけててね』
そう話すとクスっと笑いを抑えられなかったようだ。
そうだ、そんなこと、あった気がする。
前を見ていなかった自分が悪いとはいえ、その電柱にぶつけたとき、彼女は知らない。
私は壮絶に血を流し、それ以降前歯がウサギの前歯のように前に突出してしまっていたのだ。
私にとってはいた~い思い出だったので、すっかり記憶から消していたようだ。
「あ…あのとき、夜までずっと遊んでくれた子!」
『覚えてて…くれた?』
『あのとき、友達も早く帰っちゃってボクだけだったんだ』
『そのときに、気兼ねなく声をかけて誘ってきてくれたんだよ君は』
『うれしかったなぁ~』
彼女は過去を振り返るようにしみじみと語る。
『だからね、ボクもいつか恩返しをしたいなって思ってたんだ』
『こんなに遅くなっちゃったけど……少しでも恩返しできていたらうれしいな』
「恩返し、出来てるよ!」
「むしろもらいすぎてるくらい」
「ささ、そんな昔のこと……ありがとうね?」
「これからは僕が君に恩返しする番だよ」
彼女は嬉しそうに泣いていた。
ごめん、訂正。
手を引かれているので「追いかける」ではなく「引っ張られる」ように連行される、に近いだろう。
入院生活が長いというのに依然、元気さは健在のようで、ちょっぴりホッとした。
彼女のはしゃぎっぷりに翻弄されながらも、後ろからついていき、
どんぐり広場という開けた場所でモルモットやウサギと触れ合うことから始まった。
ここでは決まった時間になるとモルモットとウサギが一斉に解き放たれ、触れ合うことができるんだそう。
事前に整理券が必要だったようで、それをもらってから時間になるまで動物園をぶらぶらすることにした。
「ほかになにが見たい?」
『ん~と、近くになら……カワウソいるよ!コツメカワウソ!』
「じゃあそこにいこっか」
『うん!可愛いけど狂暴なんだよ~!』
彼女はとてもウキウキしていた。
彼女の笑顔を見るたび、私も心が躍った。
成り行きとはいえ、入園してからずっと手も繋いでいるのだ。
子供ながらにドキドキもしていた。
「ささが動物好きだったなんて、ホント意外だよ」
『うちね、兄弟姉妹がいなくて…一人っ子なんだ』
『でね、こんな性格じゃない?』
自分を指さし、腕をムキっとする。
『やっぱりその、独りぼっちは寂しくてね』
『だからお父さんがハムスターを連れてきてくれたんだぁ』
『名前はこむぎ!』
『こむぎのお世話してたらいつの間にか動物好きになってたんだよね』
エヘヘ
彼女の心の声を初めて聞いた気がした。
こんなに活発な彼女なのだ。
遊び相手がいないのはやっぱり寂しいんだろうなぁ…と納得した。
「今は…僕がいるよ」
自然と彼女の手を握る力が強くなってしまった。
「僕ができるだけ傍にいるからもう…寂しくないよ!」
そう言ってにこりと笑顔になる。
『そうだね。うん』
『去年、君を助けて…というのも烏滸がましいけど、話しかけてホントによかったなって思ってる。』
『ボク、こんな性格だからなかなか同姓の友達ができなくて……』
『実は保育園のとき、君と遊んだことあるんだけど、覚えてない…よね?』
「えっ!」
いきなり彼女が衝撃的な発言をするものだから、頭が混乱する。
「い、いつだろぅ…」
「ごめん忘れてた…んだね」
『んーん。いいの!ちょっとだけ、だから』
『でも君と遊んだとき、楽しくってね』
『ボクがずっと忘れられなかったんだ』
『きっと君も楽しかったはずなんだよね』
『お別れのお見送りのとき、こっちは自転車で君は歩き』
『ずっと手を振って走って追いかけてきてくれたんだけど、よそ見をしてたから君、壮大に電柱にぶつけててね』
そう話すとクスっと笑いを抑えられなかったようだ。
そうだ、そんなこと、あった気がする。
前を見ていなかった自分が悪いとはいえ、その電柱にぶつけたとき、彼女は知らない。
私は壮絶に血を流し、それ以降前歯がウサギの前歯のように前に突出してしまっていたのだ。
私にとってはいた~い思い出だったので、すっかり記憶から消していたようだ。
「あ…あのとき、夜までずっと遊んでくれた子!」
『覚えてて…くれた?』
『あのとき、友達も早く帰っちゃってボクだけだったんだ』
『そのときに、気兼ねなく声をかけて誘ってきてくれたんだよ君は』
『うれしかったなぁ~』
彼女は過去を振り返るようにしみじみと語る。
『だからね、ボクもいつか恩返しをしたいなって思ってたんだ』
『こんなに遅くなっちゃったけど……少しでも恩返しできていたらうれしいな』
「恩返し、出来てるよ!」
「むしろもらいすぎてるくらい」
「ささ、そんな昔のこと……ありがとうね?」
「これからは僕が君に恩返しする番だよ」
彼女は嬉しそうに泣いていた。

