笹と川のせせらぎ

ガタゴト
と電車が揺れる。
私と彼女も
ガタゴト
と電車に揺られる。
電車がカーブを曲がれば右に左に私たちも傾き、
私なら彼女に、彼女は私に、寄りかかってくる。


30分は短いようで長い。
彼女の病院までもそれくらいだが、一人で行って帰ってくるのでやっぱり少し心細い。
行きは「ささに会える!」という気持ちがあるから頑張れるのだが、帰りはさよならした後なので気持ちが重い。
でも今は、彼女と一緒なのだ。
今だけは「30分」も短く感じてしまう。
彼女が女性服を着るもんだから変にとまどってはしてしまうが、
知った仲なので緊張はしない。

『君は動物好きなの?』
「そこそこ、かな?」
『なにそのビミョーな返し!』
「特殊な動物が好きかな?」
「爬虫類とか…あ、あと、水生生物が好きだよ。魚系!」
『そういうことかー!じゃあ次は水族館だね!』
「ささが好きなところに行きたかったんだ」
『うん。知ってるよ。君、優しいから』
『いつも、ありがとね?』

そう言ってニコっと笑った。
そういう不意打ちはやめてほしい。
ついドキッとしてしまった。

緊張で会話が途切れるとかはなかったが、ちょっとしたしぐさや言葉遣いでドキドキさせてくるのは反則だと思う。
そんな、自分の心の中で戦っている内に、目的地に着いた。

某パンダで有名な動物園の5倍ほどの広さを有するこの動物園はタスマニアデビルやユキウサギなど、
ここにしかいない動物も多く、柵のない動物園としても有名だ。

とても広いのであらかじめどの動物が見たいかなどを話し合い、ルートを決めていくことにした。

「ささは何がみt……」
『うさぎ!!』

言い終わらない内に返答が返ってきた。

「えっ」
『だーーかーーらーー。うさぎ!』
「うさぎかぁ どこにいるかな」

なんてマップを頼りに探そうとしていると

『ここ!ここにいる!』

どうやら彼女は何度かここに来たことがある様子だった。
地元から一番近い動物園だとここになるので、家族と訪れていても不思議ではない。

「うさぎは真ん中だから……このまままっすぐいけば会いにいけるね」
『うん!道分かるからついてきて!』

そういって手を握られ、引っ張られる。
リードするのは私のはずなのに…!
そう思いつつも、彼女との動物園散策が始まったのである。