笹と川のせせらぎ

この納涼祭、そこそこの規模なのだが、なんといっても普段は立ち入ることのできない自衛隊駐屯地の中に入れるということで
毎年、多くのお客がくる。
実家はそこそこの田舎なので、こんなに人が来るなんてびっくりするレベルで人が多い。
中では出店はもちろんのこと、ダンスの披露や音楽隊による音楽の披露、
もちろん盆踊りや自衛隊ならではの装甲車やオートバイなどの展示もされている。

私は剣道を習っていて夏の合宿は決まってこの駐屯地で行われていたので珍しさも半減なのだが、
一般的にはとても珍しいため、大人も多く見かける。
大人も多いので、迷子にならないように、と彼女と手を繋いだが、少しドキドキしてしまった。
彼女は手を繋いだってお構いなしで目を輝かせていた。

『ね!ね!あっちにカッコいい車があるよ!』
『このバイク、乗ってみたいねぇぇぇ』
『ダンスやってるよ!ダンス!』
「うんうん」
「どこから行く?」
『やっぱり…食べ物!』

彼女にとっては憧れのお祭りだ。
はしゃぐのも無理はない。
彼女がとてもはしゃぐのでこっちまでウキウキしてしまう。

食べ物屋台はお祭りの定番メニューがずらりと並んでいた。
チョコバナナをはじめ、かき氷やからあげ、焼きそば、フランクフルト、りんご飴や焼き鳥などなど…
どれも美味しそうで目移りしそうだが、今日は彼女の食べたいものを駆けずり回ることにした。

「なにが食べたい?」
『んーーーーーー』
『じゃあまずはぁ…りんご飴かな?』
『お祭りと言ったらこれでしょ!』

そう言ってりんご飴の屋台まで走っていく。
走っていくのだが、手を繋がれていたので私も強制的に連れていかれてしまった。

まだ始まったばかりの時間だったので並んでいる人も少なく、すんなりと買うことができた。
今日はこの日のために、親のお手伝いをして溜めた「へそくり」を持ってきた。
彼女の喜ぶ顔のために頑張って溜めてきたのだ。

『りんご飴おっきい!』
『君も食べて?』
「じゃあちょっとだけ…」
『唇まっかー!あははは』

こんなにはしゃぐ彼女は本当に久しぶりだ。
私も思わず「ははは」と笑った。

その後も焼きそばやチョコバナナなど、いろんなものを食べつくした。

『ふぅ。おなかいっぱい!』
「ささ、食べすぎ(笑)」
『そんなことないもん!ちょっとずつ君にも食べてもらったもん!』

彼女も楽しそうでよかった。
勇気を出して誘ってよかったなと思った。
病室にずっといたら気が滅入ってしまう。
こういう息抜きも必要だよね、そう思った。