笹と川のせせらぎ

納涼祭、当日。
彼女は自宅に戻り、着替えてからこっちに来ると言っていた。
夕方から開催するのでそれまでそわそわして待っていると、後ろから声をかけられた。
ツンツン

『ねぇ……どう、かな?』

彼女だった。
しかもまさかの浴衣を着ていた。
私より背が高いので浴衣を着ることで大人びて見えた。
彼女の女性らしい恰好は…初めてだった。
一緒に遊んでいた頃はそれこそ虫取り少年のように半袖短パンスタイルで
髪の毛も短髪だったので余計に少年っぽかった。

なのに今は、浴衣を着ている。
長年の入院生活の影響で髪の毛も伸びに伸びきっていて、髪留めでまとめていた。
とても……可愛かった。
正直すごく可愛かった。

「かわいい…」

思わず、口に出してしまった。

『えへへ、よかった』

彼女もどこか照れくさそうだった。

私にとっては普段のイメージと違いすぎる彼女の恰好でもう雷を打たれた気分だ。
今まで一緒に遊んでいたのが夢のように感じられた。
私は今までこんな綺麗な女性と秘密基地を作ったり走り回ったりしていたのか、と。
思わず、頭を撫でてしまっていた。

『な、なんだよぅ』
『恥ずかしいじゃないか』
『髪留めはずれちゃう!』

だが、本気で振りほどくわけではなく、どことなく嬉しそうだった。

「ささって…すごく可愛いじゃん」
『えへへ、どーだ、見直したか!』

昔の彼女のように気丈な姿がまた見れた。
それだけで…嬉しかった。

『な、なに泣いてんだよ!』
『ほら、涙吹いて!行くよ!』

私は涙を流してしまった。
今日はいっぱい楽しませてあげよう!
そう、心に誓って、会場に足を踏み入れるのであった。