笹と川のせせらぎ

彼女は最近泣き虫だ。
ちょっとしたことで涙を流してしまう。
きっと長い入院生活が心にきているのだろう。
何かしてあげられないかと思い、ふとこの前の彼女の言葉を思い出す。

『夏祭り行きたいな』

と、言ったことを。

もちろん破るつもりはない。
海だってかなえてあげたい。
だけど、海は近くにない。
しかしお祭りなら…もうすぐ地元で夏祭りが開催される。
決して大きなお祭りじゃないけれど、原っぱだけの公園いっぱいを使って真ん中には櫓が設置される。
子供にとっては一大イベントといっても過言ではない。
思い切って誘ってみることにした。

「ささ?」
『なぁに?』
「今度、地元で夏祭りやるじゃん?」
『あ、もうそんな時期かぁ』
「一緒にいかない?」
『………』
「君さえよければ…だけど…」
『嬉しい』
『けど……』
『その日は手術なんだ…』

ささは少し震えていた。

「そっか…」
「ごめん……」
「あ、でも、それで良くなるってこと、だね!?」

今にして思うと、無配慮なことを言ってしまったなと思う。

『んーん、良くなるんじゃなく、一時的に食い止めるだけ、だって』
『良くなれば、いいんだけどなーーー』

はははっと笑うが、その笑顔はどこか寂しそうだった。
そしてそれは同時に、彼女の病気が私が思っていた以上に重いことを嫌でも突き付けられた瞬間だった。

『今まで頑張ってこれたのは君のおかげ』
『とっても感謝してる』
『いつ言えなくなるか分からないから…』
『今までホントにありがと』
『君といた時間、とっても楽しくて幸せでボクの一番の宝物だよ』


彼女は笑顔でそう言った。