笹と川のせせらぎ

お見舞いにいけなかった次の日の彼女はすごく不機嫌だ。

『昨日きてくれたなかった!』
むすー

ぷくーっと頬を膨らませ、さながらリスのよう。
なんか可愛い。
しかし、そこで笑ってしまっては更なる追い打ちが待っているので、グッとこらえる。

「ご、ごめんね。昨日はお稽古で…」

私は当時、精神的に弱々だったので精神を鍛えるため!と「剣道」を習っていた。
当時、流行っていた剣客のマンガを読んで憧れた、というのも理由の一つだ。
「剣」に魅了されるというのは男の子ならばきっと誰もが通る道だ。
私も例にもれず、剣の道に魅了され、習うようになったのだ。
稽古は自分の通っていた学校の体育館で週2度行われていた。
なので、その日は彼女のお見舞いにいけなかったのだ。

決して強くなりたいとかはなかったのだが、自分でも弱々しい性格だなーとは思っていたので、
いい機会かなと思って習い始めたのだが、これが結構厳しい…!
竹刀は重いし、防具も重い。
おまけに通気性はほぼ皆無なので暑苦しい!
よほど好きじゃないかぎり続かないだろう。
私はそれから高校までなんだかんだ続けていたのでいい趣味を見つけたなとは思っている。

そんなわけで、彼女のお見舞いにいけず、素直に申し訳なかった。

「さびしかった…?」

『当たり前だよ!』
『君が来ないと暇すぎて倒れちゃう!』

きっと多分、彼女の性格上、暇すぎて倒れちゃうのはわりと本当のことかもしれない。

「ご、ごめんね」
「今度埋め合わせするから」

『別にいいよ!』
『怒ってないしっ』
『それよりも強くなったの?』

彼女は私が剣道を習っていることを知っている。

『普段、スポーツをほとんどやらないのに剣道だけはするんだー!へー!』

と言われたことがある。
バカにしているわけじゃなく、素直にスポーツやってるじゃん!ということだと思う。


「全然だめだめ!」

『ダメじゃん!』

二人で笑った。