笹と川のせせらぎ

彼女の通う病院はこの近辺ではそこそこの大きさのある病院だ。
私も以前、もっと小さい頃に心臓の疾患でお世話になったことがあったので、
場所は把握していた。
ただ、歩いていくには駅一つ分なので少々遠い。
自転車でビューンと行った方がいい。
自転車はとても便利だ。
自分の体力さえあれば、どこまででも行けるのだ。
車と違って免許も必要ないし、燃料もいらない。
身一つでどこまでも行けるのは夢があるな~と思う。
文明の利器に感謝せざるをえない。


病院に着くと先生に教えてもらった病室に駆け込む。
駆け込むといっても決して走ったわけではない。
気持ちだけ、急いていたのだ。

病室にはぽけーっと窓の外を眺める彼女が、いた。

「ささ!」

『え…?』
『えぇ!?』
『なんでこんなところにいるの?』

一瞬「なんで?」という顔をして、動揺しているのが見て取れた。

「ささが寂しがってるかなって思ってね」

冗談を言ってみたつもりだった。

『いきなりなんて……ずるいよ…!』

そう言って彼女の目からツツーっと涙が零れ落ちた。