笹と川のせせらぎ

「ふぅ。。。」

行きは楽だったなと心の底から思った。
行きは自分の好きなようにスピードを出せたし、荷物もなかった。
しかし帰りは百合の花を守りつつ、帰らねばならない。
片手運転なんて危ないし、かといって子供の自転車のカゴに収まるほど小さい荷物でもない。
もういっそのこと漕がずに押して帰ろう!と決心をし、現在に至る。
時間はかかってしまうものの、それが一番安全なんだという考えに辿りついたのだ。
急ぐと花の安全の保障はない。
ここまで来た意味はなんだったのかと思い知らされてしまう。

「あと。。。もう少し!」

行きは30分ほどで着いた道のりが帰りは1時間半ほどかかってしまった。
唯一の救いは今は冬で外気が寒いことだろうか。
信号待ちで立ち止まると適度に涼しさが戻ってくる。
これが夏だったら。。。と思うと想像するだけで身震いする。
普段見慣れた土地に来ると自然と足取りも軽かった。

家に帰ると急いで花瓶に水を入れ、調達してきた百合を滑り込ませる。
これで一安心。

「疲れた。。。」

足はもはや綿のよう。
久しぶりに限界まで運動した感じだった。

「こりゃ~明日は筋肉痛かな?」

はははっと笑う。
でも自然と嫌な気はしなかった。
それよりも達成感の方が勝っていたからだ。

「ささ、喜んでくれるかな?」

どこか遠くを見ながら思いを馳せる私だった。