笹と川のせせらぎ

誰よりも秘密基地の完成を楽しみにしていた彼女。
この惨状を見たら彼女はきっとショックを受けるだろうな。。。
と思った。
段ボールはまだしも布で作った「天井」は明らかに人為的に破壊されていた。
公園で遊ぶ子供がたまたま見つけて面白おかしく壊したのかもしれないし、
公園の管理人がルール違反だ!と撤去したのかもしれない。
もっとも、公園に管理人がいるのかどうかもわからないけれど。
とにかく、私と彼女の「楽園」は唐突に消えてしまったのだ。

当時はスマホなんてない時代。
連絡手段なんてあるわけもなく、この破壊された「楽園」と共に彼女を待つしかなかった。

しばらくして、彼女が来た。

『あーーーー  秘密基地がなくなってるー!』

水筒を肩にかけ、いろいろ詰まってそうなリュックを背負った彼女は、
やはりというべきか、ショックが声色からも滲み出ていた。

壊されてしまったものは仕方ない。
仕方ないのだが、やはり彼女の落ち込みようが半端じゃなく、私まで胸が痛くなった。
そこで

「ねえねえ」
「川の向こうの中央公園いかない?」

思い切って誘ってみた。
決してデートのお誘いではない。
友達として、誘ったのだ。

彼女はしばらく考え、

『うん。いこっか!』
『君から誘ってくるなんて珍しいね』
『なんだかうれしい』
『今日はいいことありそう!』

そんな風に言ってくれた。

秘密基地には申し訳ないが、Good Job!と思ってしまった。

新天地を探す冒険が始まった。