笹と川のせせらぎ

彼女との日々はそれはもう宝物だった。
授業も一緒に。。。受けられたらよかったのだけれど、それは残念ながら叶わないので諦めなければいけないが、
授業が終わったと同時に地ならしでも起きたのかという勢いで彼女は私の教室になだれ込んでくる。
もう慣れたものだが、恥ずかしいことこの上ない。
とても恥ずかしいときは彼女が来る前にあらかじめ教室の外に出ていることもあった。
『なんで外にいるの?』
『さぼり?』
というようなきょとん顔で、もちろん私の気持ちなんて1ミリも察してはくれなかった。

これが高校生だったら甘酸っぱい「何か」でも始まるのかと期待もしてしまうが、
残念ながらそんな素敵イベントは起こらない。

でも、それでもいいのだ。
彼女とのなにげない日常は退屈だった私の人生に「色」を与えてくれた。
それだけで私は感謝だし、嬉しい。
『今日のテレビは~』
『また新しい絵を描いてよ!』
『国語わかんない!教えて!』
一つ一つの会話はどうでもいいことかもしれないが、
その一つ一つが私にとっては宝石のようだった。
それらを丁寧に拾い集め、宝箱にしまっているといつかあふれかえってしまいそうだ。



ある日、彼女が言った。

『今日はいつもと違う道を通って帰ろ!冒険みたいできっと楽しいよ?』

「冒険」という響きだけで私はわくわくした。
今日もきっと新しい発見があるに違いない!
そう、期待を胸に彼女の提案を受け入れた。