出張の晩ごはんは各自で

自分も初めて見たときは、なぜこんなに肉まんが?
とやはり驚いたものだと夏美は懐かしくなった。

「買ってみよー」

「一個パックのにしとけよ。
二個は多い」

掴んだ二個入りのパックをそろりと浅生が戻し、苦笑いしていた。

夏美がいつも買っているスイーツを手に取ったところで、浅生が寄ってきた。

「それ、なんですか」

「オムレット。
うまいんだ、これが」

ひとつ夏美がカゴに入れると、浅生も手を伸ばしてきた。

「俺も買おうっと」

「というかオマエ、さらになにを入れたんだ?」

彼のカゴの中には先ほどまではなかった箱が増えている。

呼子(よぶこ)のイカシュウマイです。
美味しそうじゃないですか」

「どーでもいいが、レンジ調理OKか確認しとけよ?
ホテルは共用のレンジしか調理器具がない」

慌ててパッケージの確認を始めた彼を尻目に、夏美は酒コーナーへと移動した。
選んでいるうちに浅生が追いついてくる。

「レンジで大丈夫でした」

「そうか」

返事をしつつ、目の前の瓶を掴む。

「え、先輩、それ一本、飲むんですか?」

「まさか。
残りは持って帰る」

夏美が地元の日本酒を買うのは、出張での唯一の楽しみといっていい。
さすがに一升瓶は重いので毎回、四合瓶を買っていた。

「へー。
じゃあ、俺もそうしよっと。
……てか焼酎コーナー、滅茶苦茶充実してませんか?」

真剣に選びはじめた浅生だが、すぐに驚きの声を上げる。

「まあ、九州なんでな」

「ふーん。
……あ、これにしよ。
先輩と同じ銘柄です」

瓶を持ち上げ、へらりと締まらない顔で彼は見せてきた。

「いや、麦とか芋とか確認しないで大丈夫なのか?」

「えー、初めてなんでわかりませーん」

軽く言う彼に僅かに頭が痛んだ気がしたが、気のせいだろうか。

「……まあ、いい。
そのまま飲むなよ?
水と氷か、お湯で割れ」

「了解です!」

浅生はわかっているのか笑っていて、夏美はなんとなく明日の朝が不安になった。

会計を済ませ、ホテルへと向かう。

「次、出張のときはエコバッグ持ってきます」

エコバッグの夏美に対し、浅生はレジ袋をガサガサさせている。
次とはまた自分と同じことをするのかと、夏美は疑問だった。

歩きながらふと、もしかしてこのまま一緒に部屋で食べるとか言わないだろうなと、不安になる。
――しかし。

「じゃ、先輩。
明日、八時にロビーで!」

自分の部屋のある階でさっさとエレベータを降り、浅生は行ってしまった。

「あー、まあ。
……うん」

完全に拍子抜けして、自分の部屋でベッドに寝転ぶ。
なんとなく微かに期待を裏切られた気がするが、そもそもなにを期待していたのだろう?

「まあいいや!」

勢いよく起き上がり、まずはクレンジングシートでメイクを落としてしまう。