おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「嬉しい、やっと触らせてくれた!」
「こんなにめろめろにして……真の悪女はにゃん太だ」
 希絵ちゃんがけらけら笑う。
「小里江さん、会社で企画を通したんだっけ?」
「正確には私じゃないけどね。開発部の人にけいちゃん焼きと明宝ハムを激推ししたら、お弁当とホットスナックに採用してくれて。東海地方限定で販売されるよ」
 おいしいものが広がるのは嬉しい。みんな幸せになってしまえっ!
「小里江さん。ようおいでんさった」
 奥から、小皿を手にした叡子さんが現れた。
「お邪魔してます」
 ぺこり、と私はお辞儀をする。
「リニューアルオープン初日にお招きいただいて光栄です」
「けいちゃん焼きを串にしてみたんやけど。食べてみてちょーでゃー」
「わあ、ありがとうございます」
 私は串焼きが載った皿を受け取り、席に座る。
 花代子さんも厨房から出てきて、叡子さん、希絵ちゃん、にゃん太店長に見守られながらぱくっとかじりつく。
 もぐもぐと噛んで、ごくんと飲み込んでからみんなに目をむけた。
「みそだれがしみた鶏肉が味わい深くくて、串になってもおいしいです!」
「やったあ! 串にするの、私のアイディアなの!」
 希絵ちゃんが小さくジャンプして喜んでいる。
「頼もしいあととりで、最高ですね」
「まだまだ負けへんよ」
 にっこり笑う叡子さんの顔に皺がよる。
 幸せになる人が、たくさん増えそうだ。
 開けていた窓の外は晴れていて、『おいでんさい』ののぼりがはたはたと風にゆれていた。

 終わり