休憩する時間もないくらいに働いて、夕方。
天井のLEDEが明滅したのち、ぱっと点灯した。暗かった店内が、いっきに明るくなる。
「よかった、電気が戻った!」
希絵ちゃんが叫ぶと、店内には自然と拍手が沸き起こった。
一日で復旧させてくれた電気会社の人には頭が下がる。
遅ればせながらコンビニにも配達のトラックが到着し、食料が運びこまれて行った。だいぶ遠回りしたんだろうな。物流の人もがんばってくれたんだ。
七時をすぎて店を閉めたころ、柿内さんがお盆とお皿を持って現れた。どちらも綺麗に洗ってある。
「持ってきてくれたんや。ありがとう」
叡子さんがにこにこと出迎える。
私が叡子さんのかわりに受け取って、重かったからいったんテーブルに置いた。
「おいしかったです」
ふてくされたように、ぼそっと柿内さんが言う。
私はびっくりして彼を見た。
そういうこと、言わなさそうなのに!
「……今まで、すみません」
私はさらに驚いた。というかもはや恐怖だ。まさか謝るなんて!?
「バイトから聞いたんですけど、うちの店の前の草むしりもしてくださってたんですね。放っておいたら草が生えるなんて、思いもしなかった」
なに言ってんの。放っておいたら生えるじゃん。草ぼうぼうの店舗に草むしりするように注意をしたことが何回あることか。
もしかして、元は都会にいたのかな? アスファルトばっかで、小さな雑草くらいしか見る機会ないもんね。
「ごはん、おいしくて。俺がこの店を敵視してるのも知ってたでしょうに」
しーんと静まり返った中、彼の独白が続く。
激しい手のひら返しに、なにか裏があるのでは、と私はどうしても疑ってしまう。
「コンビニの客はどんどん減るのにこちらは繁盛して、焦ってました。困ったときはお互いさまって言われて、そういえばいろいろ気を配ってくださってたなって、ごはんを食べながら亡くなったおふくろを思い出して……。自分のことばっかり考えてたなって」
涙をこらえてうつむく柿内さんを見て、胸がぐっと詰まる。
嫌な人に思ってたけど、この人も一生懸命だっただけなんだ。
私には柿内さんが簡単に心をひるがえしたように見えたけど……違う。日頃の叡子さんの積み重ねの結果であって、最後の一打があのごはんだったんだ。
天井のLEDEが明滅したのち、ぱっと点灯した。暗かった店内が、いっきに明るくなる。
「よかった、電気が戻った!」
希絵ちゃんが叫ぶと、店内には自然と拍手が沸き起こった。
一日で復旧させてくれた電気会社の人には頭が下がる。
遅ればせながらコンビニにも配達のトラックが到着し、食料が運びこまれて行った。だいぶ遠回りしたんだろうな。物流の人もがんばってくれたんだ。
七時をすぎて店を閉めたころ、柿内さんがお盆とお皿を持って現れた。どちらも綺麗に洗ってある。
「持ってきてくれたんや。ありがとう」
叡子さんがにこにこと出迎える。
私が叡子さんのかわりに受け取って、重かったからいったんテーブルに置いた。
「おいしかったです」
ふてくされたように、ぼそっと柿内さんが言う。
私はびっくりして彼を見た。
そういうこと、言わなさそうなのに!
「……今まで、すみません」
私はさらに驚いた。というかもはや恐怖だ。まさか謝るなんて!?
「バイトから聞いたんですけど、うちの店の前の草むしりもしてくださってたんですね。放っておいたら草が生えるなんて、思いもしなかった」
なに言ってんの。放っておいたら生えるじゃん。草ぼうぼうの店舗に草むしりするように注意をしたことが何回あることか。
もしかして、元は都会にいたのかな? アスファルトばっかで、小さな雑草くらいしか見る機会ないもんね。
「ごはん、おいしくて。俺がこの店を敵視してるのも知ってたでしょうに」
しーんと静まり返った中、彼の独白が続く。
激しい手のひら返しに、なにか裏があるのでは、と私はどうしても疑ってしまう。
「コンビニの客はどんどん減るのにこちらは繁盛して、焦ってました。困ったときはお互いさまって言われて、そういえばいろいろ気を配ってくださってたなって、ごはんを食べながら亡くなったおふくろを思い出して……。自分のことばっかり考えてたなって」
涙をこらえてうつむく柿内さんを見て、胸がぐっと詰まる。
嫌な人に思ってたけど、この人も一生懸命だっただけなんだ。
私には柿内さんが簡単に心をひるがえしたように見えたけど……違う。日頃の叡子さんの積み重ねの結果であって、最後の一打があのごはんだったんだ。



