応援先のコンビニでは問題なく勤務を終えられてほっとした。
「ありがとうございます。明日からはほかのバイトがシフトに入ってくれるんでなんとかなります」
夕方、オーナー店長が現れてお礼を言ってくれた。
「お助けするための本部ですから」
私は営業スマイルで返し、店をあとにした。
社用車に乗って、名古屋に戻るために車を出す。窓を開けると、中秋のさわやかな風が入ってきた。
お昼を食べる暇もなかったから、おなかがすいている。
せっかく郡上まで来たのに、観光できない。明宝ハムとか郡上カレーとか食べたかったなあ。
そんなことを考えていたせいだろうか。高速のインターを通り過ぎてしまった。
「やっちゃった!」
慌てたのは一瞬だった。
「どうせだったらドライブしちゃえ」
どっかのお店でごはん食べて、次のインターに行けばいいや。
国道156号線はすいていて、流れはいい。この辺はえんえんと信号がなくて走りやすい。
民家が道路沿いにちょこちょこと並び、近くに山が迫っているけど畑や田んぼもあって、のどかな田舎だ。
すぐに民家も畑もなくなった。両側は草や木が生い茂り、山の際には太陽が沈みゆく。
ガードレールのところどころに赤い目印のついた棒がにょきっと突き出ている。これは積雪時の「道路はここまで」という目印だ。
アスファルトは劣化して白っぽく、ひび割れたり補修があったりしてがたがた。白線は輪郭が削れてがびがび。
片側は山を切り崩して作っているため、法面はコンクリートで固められて格子状の模様が入っている。
長良川にかかる白っぽい橋は三角を重ねたような鉄筋の無骨な作りだ。
しばらくして、Uターンしなかったことを後悔した。……Uターンできる道はなかったけど。
「なんもお店がない」
わかっていたはずだ。西濃とはいえ、担当は岐阜。奥地は田舎でコンビニも少ない。高速ならSAがあるのに。
道の駅、近くにあったっけ。岐阜には道の駅が五十六駅で、全国二位。全国一位の北海道は百以上あるが、面積は岐阜の7倍以上。岐阜は面積に対して異常な数。でも、だいたい五時でしまっちゃうよね。
コンビニのほうが可能性あるかも。ライバル店でもいいかな。今日の車は社名が入ってないし。



