おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「駐車場を使えなくしたり、こっちの客をとったり」
「駐車場は敷地を明確にしただけです。ドライブインの改善に協力しましたが、コンビニの妨害はしてません!」
 雑貨を削ったからコンビニ利用者が増えていてもおかしくないのに。叡子さんはコンビニの草むしりもしてくれてたのに。
 怒りと悲しみでぐるぐるしてしまって、うまく言葉にならない。
「ちょ、え……」
 唐田さんは困惑しておろおろしている。
「これは本部に報告するからな!」
 柿内さんが怒って店内に戻り、応援に来ていたらしい唐田さんが追いかけていく。
「小里江さん」
 声に振り返ると、希絵ちゃんがそこにいた。
「ごめん、うちのせいで……」
「大丈夫だよ」
 私はにっこり笑って見せた。
 子供に心配かけるわけにはいかない。
 ぽつん、ぽつん、と雨が降り出した。
「ふたりはお店にもどって。俺は交通整理してくるから」
 だんなさんに言われ、私と希絵ちゃんは店に戻る。
 それからはふたりとも、口数が激減した。
 降り出した雨はすぐに勢いを増して豪雨となった。
 七時に閉店したあとは、叡子さんたちに、実は私がサークルMの社員だったこと、隣の店長に本部にクレームを入れるといわれたことを正直に話した。
「ご迷惑をおかけすることになるかもしれません。申し訳ありません」
 私は深々と頭を下げる。
「もう迷惑かかっとる」
 花代子さんがぼそっという。
「小里江さんはなにも悪いことしてないよ!」
「にゃあ!」
 憤慨する希絵ちゃんに、猫店長が同調するように鳴く。
「あんばようやってくんさって助かっとったけど……会社の副業規定とか、ええかしゃん」
 叡子さんが不安そうにこぼす。上手にやってるって思ってくれてたんだ。
「規定は大丈夫です。お給料もらってたわけではないので」
 沈黙が降りると、ざあああ、と雨音が私たちの間を埋める。