おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「そういえば、町長があとで店にみえる(いらっしゃる)って」
「町長が? すごいね!」

「田舎あるある。町民にとっては近所のおじさん」
「そうなんだ」
 私はちらっと隣のコンビニを見る。

「あの人はよそから来た人だよ。最初はコンビニができるってみんな喜んでたけど、無愛想だし、あんまみんなと仲良くない」
 あんな態度、遠巻きにされるのは当然だろうな。

 なんだか感慨深い。
 初めて会ったときにはコンビニの店長に蹴とばされそうになっていたにゃん太が、今や同格の『店長』だ。
 病院での検査を受けてシャワーを浴びさせられて、それでも人を嫌うことなく希絵ちゃんの腕におさまっている。

「店長、これから頼みますよ!」
「にゃああ!」
 返事は、とても頼もしかった。



 その日は「猫店長に会いに来ました」と地元からも観光客のお客さんも来てくれた。
 猫効果、けっこう大きい。

 翌日からも希絵ちゃんは毎日猫店長の様子を上げ、たくさんのいいねをもらっていた。
 叡子さんと猫店長のツーショットがバズっていた。叡子さん、すごいいい笑顔してる。

 週末に訪れると、私が最後の一台分になんとか収まる状態だった。
 店内は満席、花代子さんとだんなさん、希絵ちゃんが手伝いに駆り出されている。
 みんなに挨拶をして、私も手伝いに入った。

 厨房は叡子さんと花代子さんと希絵ちゃん、ホールが私と花代子さんのだんなさん。私は平行して皿洗いもした。あまりの混みように、にゃん太は二階に避難させたという。

「こんなに混むなんて想定外だよ!」
 希絵ちゃんの愚痴はまるで悲鳴。
「まったく、余計な事して。わややわ」

 花代子さんが文句を言い、叡子さんはもくもくと料理を作っている。
 わやとは、めちゃくちゃとか台無しとか言う意味だ。
 どうしよう。花代子さん、だいぶ怒ってる。