おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「そんなことしたって無駄だよ。駐車場にコーンとか置いて、心が狭い。なにやったってコンビニにはかなわねーんだよ」
 にやにやと小ばかにされ、私はむっとする。
 言い返そうとする希絵ちゃんを、私は手で制した。
 おなかの中のマグマが噴き出さないように気を付けて、にっこりと笑う。
「ご忠告ありがとうございます。当店はコンビニさんとは違う路線で行く予定ですのでご安心ください」
 当店って言っちゃった。まあいっか。
 店長は鼻白んだように無表情になり、踵を返して歩いて行った。
「小里江さん、おっとなっ!」
 感心したような希絵ちゃんに、私はぐるん、と振り返って笑みを向ける。
「絶対にコンビニに勝とうね!」
「笑顔がどす黒い! 全然大人じゃなかった!」
 希絵ちゃんが手を叩いてけらけら笑う。
 掃除を終えて店内に戻り、叡子さんと三人で推しメニューを決める。
 けいちゃん焼きを目玉にしよう、とすぐに決まった。
 ネットで一枚五百円程度でのぼりを作れるサイトがあったから提案してみた。のぼりが立っていると営業中なのがわかりやすくていいと思う。
話し合った結果、『けいちゃん焼き』『ランチ680~』『病みつき! かまど炊きごはん!』『おいでんさい! ドライブイン奥美濃』の四枚を作ることになった。
 デザインは希絵ちゃんがやってくれることになった。デザイン料が節約できてありがたい。
「メニュー、増やしたほうがええかね?」
 叡子さんの疑問に希絵ちゃんが目を輝かせた。
「ソフトクリーム入れようよ」
「自分が食べたいだけでしょ」
 私がつっこむと、えへへ、と希絵ちゃんが笑う。
「手間とコストが増えるので……でも、そのうち余裕があれば、ひだ牛の串焼きとか五平餅とか、岐阜の名物を入れたいですね」
「ええねえ」
 うんうんと叡子さんが頷く。
「もうひとつ、インパクトがほしいですね」
 私がうーんと、うなったときだった。
「うにゃああん」
 足元にはいつか見た薄い色のさび猫がいた。