おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

 夜ごはんは叡子さんの手作り料理に舌鼓を打った。思った通り、けいちゃん焼きはビールにもよく合う!
 一番風呂を使うのを遠慮していたら希絵ちゃんが先に入ってくれた。出てきたら「お先にご無礼しました」なんていうから「武士!?」って突っ込んじゃって、笑われた。方言か、そっか。もうだいぶ忘れてるよ。
「いろいろお世話になってまって、悪いねえ。よう勘考(かんこう)しとらっせる。お店の再建なんて、普通はお金を払って頼むもんやろうに、ええかやぁ?」
 お布団を敷いてくれた叡子さんが申し訳なさそうに言う。
「こちらこそ、図々しく泊まってしまって。お店の改善を考えるのは私の趣味なんで大丈夫です」
 仕事が趣味ってだいぶやばいと思うが、可能性のかたまりを見たらアドレナリンが止まらない。
 あれもこれもやってみたい。アイディアが次々とわいて、どれも成功するように錯覚して危険だ。実際にやってみると案外かみあわなかったりする。「わたしがかんがえたさいきょうのけいかく」にならないように気を配り、オーナーさんと話し合ったりする。
 ああ、この仕事が好きだ。
 ふいに、私は自覚した。
 好きなことを仕事にはできなかったけど、仕事を好きになることができた。それって充分に素敵で幸せなことだ。
 希絵ちゃんと叡子さんと三人で川の字になって、祖母の家に来たような気分で私は眠りについた。

 翌日は希絵ちゃんに案内されて郡上を楽しんだ。小さいころに来たっきりだからすっかり変わっていた。
郡上城を建てるときには人柱が……なんて説明されて、あの頃は怖かったなあ。
郡上と言えば徹夜踊りが有名だけど、一度は体験してみたいな。
念願の郡上カレーはおいしかった!
 水の街とも言われているから水路横を散策したり、買い食いをしたりして楽しんだのち、彼女をドライブイン奥美濃で降ろして帰宅する。
 帰ったら彼女の作ったアカウントをチェックする。郡上で遊んだことが書かれていて、ふふっと笑みがこぼれた。