おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「初めて東京に行ったとき、山の手線はどの駅に止まってもビルだらけでびっくりした。名古屋なんて都会なのは名駅(めいえき)から(さかえ)までくらい。あ、でも後発で開発してるから、ビルはきれいなのが多いかも。東京は古い建物も多いから」
「へええ」
 希絵ちゃんは意外そうに目を丸くしている。
「名古屋も東京も、雪が降るたびに大騒ぎだよね。数センチで騒ぐなんて大げさ。除雪車もないって変」
「普段は降らないからね。除雪車はお金がかかりすぎる」
「税金でやればいいじゃん」
「税金は無限じゃないよ」
 私は苦笑する。まだお金のことは現実味がないのかもしれない。
 店に着いたらカラーコーンを設置して店内に入り、叡子さんに領収書を渡して代金をもらった。
それから三人で今後のことを話す。
「利用者のアンケートもとれたらいいんだけど」
「それなら私がやる!」
 希絵ちゃんが言ってくれて、内容について話していく。
 気がついたら日が暮れていて、私は慌てた。
「もうこんな時間。長いことお邪魔して、すみません!」
「明日は日曜やし、うちに泊ってきゃあ」
「そんな、申し訳ないです」
「ええやん。私も泊まる!」
 希絵ちゃんはスマホを出してさっさとお母さんに連絡を取り、叡子さんちに泊まる承諾を得ていた。叡子さんはお店の二階に住んでいる。
「うちに泊まって、明日は郡上に遊びに行ったらええがね」
 叡子さんがさらに誘惑してくる。
「じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します」
 私がそういうと、希絵ちゃんはすごい喜んでくれた。
 着替えをどうしようかと思って、結局希絵ちゃんと一緒にファッションセンターうえむらに出かけた。田舎の強い味方だ。
 服を選んでいてふと顔を上げると、希絵ちゃんがきらきらした目でイヤリングを見ていた。
 買って上げたいけど、勝手にはダメだよね。
 花代子さんの顔が浮かんで、我慢……と思ったけど、結局、私の服と一緒に、内緒で買ってあげた。希絵ちゃんは嬉しそうにさっそくつけてくれている。