おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「そんな風に考えたことなかった。商売敵に勝つためにはコンビニより便利にしないとって」
「せっかく隣にあるんだし、利用しない手はない」
「この前はつぶすって言ってたのに……小里江さんってずるいね」
「誉め言葉よね」
 私はにんまりと笑みを浮かべる。
「悪女……!」
 そう言う希絵ちゃんはどこか嬉しそうだ。
「便利をコンビニに任せるなら、外の自販機は撤去?」
「あれは残そう。コンビニに寄る手間を省きたい人もいるから。自販機の契約では場所を貸しているだけだから、管理は業者だし」
「ごはん食べるのにお店に入るのに、コンビニに行く手間は省く人いるの?」
 希絵ちゃんはいまいち納得いってなさそうだ。
「営業時間は、今は十時から十九時だけど、変えよう。十一時から十四時まで。三時間休憩して十七時から再開、十九時ラストオーダーくらいで」
「途中でお店閉めるの? そんなんあり!?」
「よくあるよ。暇な時間に営業しているほうが損だから」
 希絵ちゃんは目を丸くしている。
「駐車場の境界、はっきりさせたいね」
「私もそう思ってた!」
 希絵ちゃんは身を乗り出す。
「お隣さんなんやで仲良くっておばあちゃんは言うけど。私はやだ」
 わかる。あんな人と仲良くなんて、できそうにない。
「塀を作るのはお金かかるから、カラーコーンを置こう」
「それも高いんじゃない? どこで売ってるかもわかんない」
「ホームセンターにあるよ。ネットでも売ってるけど、すぐに欲しいよね」
 私がスマホで検索して見せると、希絵ちゃんは驚いていた。
 内容をまとめて、叡子さんの手がすいた時間に話す。
 希絵ちゃんのやりたいようにやってみやあ、と言ってくれたので、さっそくカラーコーンを買いに行った。
 地元のホームセンターコメリに行き、カラーコーンを五個ほど選ぶ。コーンだけでは風で飛ぶので、重しのゴムも買った。ドライブイン奥美濃の名前で領収書をもらい、ふたりでカートで運び、車に積んで店に戻る。
 途中、希絵ちゃんが私に尋ねる。
「小里江さんって名古屋で働いてるんだよね。名古屋ってやっぱ都会? 東京みたい? 私、あんま行ったことなくって」
「東京に比べたらいまいちかなあ」
「そうなんだ?」
 声は少しがっかりしている。