おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「フォロワー増やすにはどうしたらいいかな」
「ごはんと猫の画像がいいよ」
「即答やん!」
「みんな好きだから。外の野良ちゃん、ネットに上げたら……でも野良猫だってことで変な人に絡まれたら嫌だよね」
「うちで飼いたいけど、お母さんが反対してるんだよね」
「そっか」
 コンビニの店長は客に餌付けされてるって言ってたけど、たぶん、フランクとかお弁当のお肉とかだよね。猫には味が濃すぎてよくないと思う。彼女の家で飼ってもらえたら……。
「小里江さん、初めて会ったとき、ひとりでごはん食べてたよね。大人だね」
 急に話が変わってきょとんとする私に、希絵ちゃんは続ける。
「私は無理。友達に見られてぼっちめしって思われたら恥ずかしいもん」
「若いころは私もそうだったよ。でもひとりで食べるしかないときがあるし、気にしなくなったなあ。周りも他人なんて気にしてないしね」
「私も小里江さんみたくなりたい」
 尊敬の目で見られて、こそばゆい。憧れてもらえる要素なんて自分にはないと思う。ただ毎日必死に仕事してるだけの人間だから。
「ひとりだけどひとりじゃないから、平気なのかも」
「どういうこと?」
「本当に孤独ならさみしくて仕方ないと思う。孤独を楽しめるのって、ふだんは人に囲まれてるからなんだな、って」
「そうなの?」
「今、思いついて言っただけ。確信はないよ」
「思い付きかあ」
 なあんだ、と希絵ちゃんが笑い、私も笑った。
 そろそろ焼けたかな、と朴葉味噌焼きをいただく。
「おいしい……」
 私は目を細めた。
 最初に香ばしい味噌が舌に乗り、牛肉を噛むとじゅわっと脂が口に広がる。朴葉の香り、味噌、脂が溶け合い、足し算ではなく掛け算のおいしさ。お肉はとろけるようにやわらくて、肉を食べている感じがしない。
 味のポイントはやはり味噌。はいはい味噌ね、となめてかかるとしっぺ返しをくらう。コクがあって濃厚なだけじゃない。刻まれたネギとシイタケが入っていて、一緒に焼けた香ばしさは格別。肉の脂とからまって最高! お酒が飲めたら、飛騨の地酒で一杯やりたい!
「うう、山の恵み、ここに極まれり!」
「小里江さん、大げさ。でも朴葉味噌焼きってなんでもおいしくなるかも。カマンベールチーズとかタマゴとかトントロ、サンマを焼いてもいいし」
「なにそれ、おいしそう」
 私のよだれを滝にする気かっ。