おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「私、あのドライブインの孫で、猿渡希絵(さるわたり のえ)です。教えてください、改善案!」
「でも……」
「お店を復活させたいんです。おばあちゃんのごはん、どれもおいしいから!」
「そうだね、すごくおいしかった」
「ですよね!」
 答える彼女の目はきらきらしていて、こんなまぶしい目をされたら、このまま引っ込むなんてできない。
「私、サークルMのスーパーバイザーをしていてね。いろんなお店に売り上げ改善のアドバイスをしてきたから、力になれると思う」
「すごく頼もしい!」
 素直な反応に嬉しくなる。こんなの、どこまでも協力しちゃうよ!
 コンビニの扉が開いて、さきほど猫を蹴とばしかけた男性が現れた。名札には『オーナー店長 柿内(かきうち)』と書かれている。
「あんた! ドライブインの客ならこっちには停めんなよ!」
 乱暴な口調に、驚くとともにむかっとした。だけど非はこちらにあるから。
「すみません。共用だと勘違いしてました」
 そうするうちにもドライブインに車が停まり、コンビニに向かって客が歩き始めた。
「いらっしゃいませー!」
 彼の声は打って変わって媚び媚びだ。
 なにこれ。あっちには注意しないって、ダブスタもいいとこじゃん。
「うちには文句言うのに」
 希絵ちゃんが低くうなるようにつぶやく。
「有効活用してやってんだ、感謝してほしいくらいだね」
 がはは、と笑って店長は店に戻っていく。
 かちーん! と来た。
 せっかくおいしいものを食べていい気分だったのに。
 店内に入ったのを見届け、私は叫ぶ。
「あんの『ピー』店長! サークルMなんてぶっつぶしてやる!!」
 自主的に規制音を入れた私の声が、ド田舎の山あいに響く。『ピー』にはもちろん、悪口が入る。
「ちょ、待ってよ。あのコンビニって勤め先でしょ?」
 慌てる希絵ちゃんに私は厳かに頷く。
「確かに私はコンビニ運営会社、サークルMの社員よ。フランチャイズのオーナーは会社のパートナー。だけどあの発言は許せない! あなたも腹立ったでしょ?」
「そうだけど……」
「私は売られたケンカを買っただけ。見てなさいよ、絶対に勝つんだから!」
 対抗心がめらめらと燃え盛る。
 すぐさま車をドライブインに停め直し、店内に入る。
 そうして希絵ちゃんたちの前で名乗り、サークルMの社員であることは隠してざくざくっと改善案を話した。