おいでんさい、ドライブイン奥美濃! ~悪女は猫店長の手を借りて幸せ出張めしの恩返しをする~

「あんの『ピー』店長! サークルMなんてぶっつぶしてやる!!」
 自主的に規制音を入れた私の叫びがド田舎の山あいに響く。『ピー』にはもちろん、悪口が入る。
「ちょ、待ってよ。あのコンビニって勤め先でしょ?」
 慌てる希絵(のえ)ちゃんに私は厳かに頷く。
「確かに私はコンビニ運営会社、サークルMの社員よ。フランチャイズのオーナーは会社のパートナー。だけどあの発言は許せない! あなたも腹立ったでしょ?」
「そうだけど……」
「私は売られたケンカを買っただけ。見てなさいよ、絶対に勝つんだから!」
 対抗心がめらめらと燃え盛る。
 そもそもこうなったのは、私の出張が発端だった。

🐱

「……さん。……えさんてば。小里江清夏(こざとえ きよか)さん!」
 強く名前を呼ばれて、私ははっとした。
「はい、なんでしょう!」
 私ははっとしてノートパソコンから顔を上げ、立ち上がった。
 目の前には課長が立っている。彼はいつも胃が痛そうな顔をしていて、今日も痛そうに目をしょぼつかせている。
「急で悪いけど、明日、郡上白和(ぐじょうしらわ)店の応援に行ってほしい」
 私が働く株式会社サークルMはコンビニをフランチャイズ営業しているので、ヘルプの依頼はときどきある。基本的にはお店で人員確保をお願いしているけど、どうしてもというときはあるから。
 郡上白和店は、岐阜県の真ん中くらいの位置にある郡上市の店だ。私の勤め先である名古屋本社からは高速を使って1~2時間かかる。
「店員がインフルで倒れたって」
 流行の季節には早いけど、インフルエンザもコンビニと同じく年中無休で24時間営業だ。迷惑なことに。
中濃(ちゅうのう)エリアは唐田(からた)さんが担当ですよね?」
 私は同じ岐阜でも大垣のほう、西濃(せいのう)の担当だ。