不安な気持ちは風船のようにどんどん膨らむ一方だった。
両思いなはずなのに、怖くて前に進めないでいた。
「広瀬?」
休日、ふらりとで歩いた先で五十嵐に呼び止められた。普段制服しか見慣れていないから一瞬誰だか分からなかった。
普段真面目そうに見えるのに、オシャレな格好で、スタイリングも緩いのにダサく見えない。
「五十嵐…」
「似てる奴いるなぁと思った。浮かない顔してるな。……な、飯食いに行かね?」
目の前のファミレスを指差指した。
「……まぁ、話の流れは分かったわ」
五十嵐に一気に話した。
少し前に取ってきたドリンクバー。氷は半分ほど溶けてしまった。コップの周りの水滴がテーブルにつたる。
「風間の事が好きなのに、びびってふったと」
「話聞いてた?ふってないよ」
「風間はフラれたと思ってるかもよ。気持ちを受け入れてもらえないんだから」
「…怖いんだよ」
「何にそんなに怖がる必要あるんだよ」
「だって…。付き合ってもさ。ずっと一緒にいれる保証も、いつ相手に愛想尽かされるかもわからない中でただ好きなだけで付き合っていいのかわからなくて」
「何が悪いのか全くわからない。風間が広瀬に愛想つかすこと自体想像できないけど」
「わからないよ。先の事なんて。だから友達のままでいた方がずっと一緒にいられるんじゃないかって」
「考えすぎだろ。…でもま、広瀬はそんな遠い未来の先まで風間といたいってことはわかった」
「当たり前じゃんか…」
「んー。広瀬はさ、今と未来どっちが大事だと思う?」
「それは…。今だけど」
「起こるか分からない、まだ起きてもいない。未来ってそーゆーもんだろ。先の事を不安がるの、勿体なくないか?俺は勿体無いと思う。だって起きないかもしれないだろ」
「…うん」
「今広瀬が誰を好きで、これから誰と一緒にいたいのか。大事なのってそこじゃね?」
「五十嵐…」
「広瀬はあいつに気持ち、ちゃんと伝えてやれよ」
「そんな事言われても…」
風間はいつも真っ直ぐに気持ちを伝えてくれていたけど…。
俺はどうしたら気持ちを伝えられるだろう。
あ。
「…あるじゃん」
俺にも伝えられる方法。
「五十嵐、ありがとう!」
俺は五十嵐に頭を下げてファミレスを出た。
「ちょ、広瀬⁉︎飯は⁉︎俺2人分食えねーぞ」
まったく世話が焼ける奴らだわ。
五十嵐のあきれた声は、もう俺には届かなかった。
⭐︎
相手の喜ぶ顔が見れたら、早起きも苦ではない。
少し失敗したな。と思う日も、空っぽの弁当箱を見るのは何よりの喜びだ。
俺は次の日、風間に弁当を作った。
約束の日ではない。
そんなの、知ったことではない。
大事なのは今だ。
起こってもいない未来に不安を抱く必要など、なかったのだ。
大事なのは今。風間を好きだと思うこの気持ちだ。
出来上がった弁当を、いつもより丁寧にスマホに納めた。
インスタを更新する。
「よし」
準備はできた。
あとは伝えるだけ。
いつもの通学路、落ち着かない。
『1人になろうとするな』
いつも俺を救い上げててくれた風間。
俺はもう、1人ではない。
「広瀬!」
風間が俺を見つけるなり駆け寄ってきた。
息が切れている。
「俺も答え、出たから」
俺は風間を真っ直ぐに見返した。
「風間…。俺…」
もう迷わない。
俺はー。
風間はスマホを握りしめていた。
そこにはsora弁の通知。
一枚の、弁当写真。
弁当箱蓋には可愛いペンギンのステッカー。
2人だけの秘密が分かるように、蓋の片隅に貼った。
『今日、好きな人に告白します』
【おしまい】
両思いなはずなのに、怖くて前に進めないでいた。
「広瀬?」
休日、ふらりとで歩いた先で五十嵐に呼び止められた。普段制服しか見慣れていないから一瞬誰だか分からなかった。
普段真面目そうに見えるのに、オシャレな格好で、スタイリングも緩いのにダサく見えない。
「五十嵐…」
「似てる奴いるなぁと思った。浮かない顔してるな。……な、飯食いに行かね?」
目の前のファミレスを指差指した。
「……まぁ、話の流れは分かったわ」
五十嵐に一気に話した。
少し前に取ってきたドリンクバー。氷は半分ほど溶けてしまった。コップの周りの水滴がテーブルにつたる。
「風間の事が好きなのに、びびってふったと」
「話聞いてた?ふってないよ」
「風間はフラれたと思ってるかもよ。気持ちを受け入れてもらえないんだから」
「…怖いんだよ」
「何にそんなに怖がる必要あるんだよ」
「だって…。付き合ってもさ。ずっと一緒にいれる保証も、いつ相手に愛想尽かされるかもわからない中でただ好きなだけで付き合っていいのかわからなくて」
「何が悪いのか全くわからない。風間が広瀬に愛想つかすこと自体想像できないけど」
「わからないよ。先の事なんて。だから友達のままでいた方がずっと一緒にいられるんじゃないかって」
「考えすぎだろ。…でもま、広瀬はそんな遠い未来の先まで風間といたいってことはわかった」
「当たり前じゃんか…」
「んー。広瀬はさ、今と未来どっちが大事だと思う?」
「それは…。今だけど」
「起こるか分からない、まだ起きてもいない。未来ってそーゆーもんだろ。先の事を不安がるの、勿体なくないか?俺は勿体無いと思う。だって起きないかもしれないだろ」
「…うん」
「今広瀬が誰を好きで、これから誰と一緒にいたいのか。大事なのってそこじゃね?」
「五十嵐…」
「広瀬はあいつに気持ち、ちゃんと伝えてやれよ」
「そんな事言われても…」
風間はいつも真っ直ぐに気持ちを伝えてくれていたけど…。
俺はどうしたら気持ちを伝えられるだろう。
あ。
「…あるじゃん」
俺にも伝えられる方法。
「五十嵐、ありがとう!」
俺は五十嵐に頭を下げてファミレスを出た。
「ちょ、広瀬⁉︎飯は⁉︎俺2人分食えねーぞ」
まったく世話が焼ける奴らだわ。
五十嵐のあきれた声は、もう俺には届かなかった。
⭐︎
相手の喜ぶ顔が見れたら、早起きも苦ではない。
少し失敗したな。と思う日も、空っぽの弁当箱を見るのは何よりの喜びだ。
俺は次の日、風間に弁当を作った。
約束の日ではない。
そんなの、知ったことではない。
大事なのは今だ。
起こってもいない未来に不安を抱く必要など、なかったのだ。
大事なのは今。風間を好きだと思うこの気持ちだ。
出来上がった弁当を、いつもより丁寧にスマホに納めた。
インスタを更新する。
「よし」
準備はできた。
あとは伝えるだけ。
いつもの通学路、落ち着かない。
『1人になろうとするな』
いつも俺を救い上げててくれた風間。
俺はもう、1人ではない。
「広瀬!」
風間が俺を見つけるなり駆け寄ってきた。
息が切れている。
「俺も答え、出たから」
俺は風間を真っ直ぐに見返した。
「風間…。俺…」
もう迷わない。
俺はー。
風間はスマホを握りしめていた。
そこにはsora弁の通知。
一枚の、弁当写真。
弁当箱蓋には可愛いペンギンのステッカー。
2人だけの秘密が分かるように、蓋の片隅に貼った。
『今日、好きな人に告白します』
【おしまい】

