付き合おうと言われた。
生まれて初めて。
まさに青天の霹靂すぎて、俺は返事をすることができなかった。
「あー。広瀬っち。大丈夫だったかー」
教室に戻ると、生田がいきなり現れて俺の肩に腕を回してきた。
「わあっ」
普段ぼっちの俺はビクッと過剰に反応してしまう。
「広瀬、悪かった」
クールな五十嵐が俺から絡まる生田を引き離してくれた。対応がスマートでこんな感じだから五十嵐も女子には人気がある。
「ただのかすり傷、大袈裟にごめんね。試合は…」
「勝ったよ」
一瞬、引き剥がされたことに不満顔の生田だったけど、この男。全く動じない。
「うっさいなぁ。五十嵐。行こ行こ広瀬」
すぐに切り替え、そして距離感ゼロ。
男に弁当作ってもらっている事で風間の株が下がるのではないかと思っていたのは完全な俺の思い込みだった。
「広瀬。マジ尊敬。俺なんて母ちゃんにおかず詰めるだけやれて言われるけどそれすら無理だし面倒くさいし」
生田はそう言って俺の背中をバシバシ叩く。
「風間ばっかずりーぞ。俺も手作り弁当食いたいぞー」
生田がグイグイ攻めてくる。
「えっと…」
困った俺は風間を振り替えった。
「だから知られたくなかったんだけど」
はあと息を吐く。
「俺と広瀬だけの秘密にしたかったんだけどな」
今まで日の目を見なかった俺の弁当。
ほんの些細なきっかけで、自分以外の人が食べてくれて、少し前まで信じられないけど友達までできてしまった。
「広瀬…マジハイスペじゃん。お前今までどこに潜んでたんだよ」
うるさく生田が絡んでくる。
このグループは生田が主にしゃべりたて、五十嵐は常に空気を静かに読む。風間は見た目からとっつきにくい印象だったのに、話してみたらとても優しかった。優しいし、周りを、俺を消して嫌な気持ちにさせない。言葉選びも秀逸だった。
今まで住む世界が違うと思っていたのに不思議なことにここはとても居心地のよい空間になっていた。
一緒にいるうちにすっかり俺も打ち解けていて、当初は周りから不思議がられた俺の存在も、3人のおかげで今は自然な空気が流れていた。
昼休み。
4人でいる時間もとても楽しい。
俺がなじめるように…風間がいつも気を配ってくれていたのに実は気づいていた。
生田は母親の弁当。五十嵐は売店のパンだった。弁当は空腹に耐えきれず早弁してしまったのだそうだ。
今日は契約の日ではないから、風間も五十嵐と売店でパンを購入していた。
あまりに風間が俺の弁当を褒め称えるものだから、本音は毎日に契約変更してもらって構わないのだが、自分から提案するのは何だか浮かれてしまいそうで言えなかった。
「な。広瀬。卵焼き一個頂戴。唐揚げやるからよ」
そして生田は人の懐に入るのが得意のようだ。
生田が弁当の蓋をこちらへ伸ばしてくる。ここに乗せろということだろう。
「いいよ」
俺は卵焼きを生田へ差し出そうとした。
「あ…」
俺の手を、風間が掴む。掴んでそのまま自分の口元へ。パクり。
「あー、俺の卵焼き〜」
悔しがる風間にフンとそっぽを向ける風間。
「チェッ、独り占めすんなし」
生田が拗ねる。
風間に取られた手が、まだ熱い。
一緒顔が近づいた時、ふわりと風間の香りがした。
ドキドキが止まらない。
なんだろ。コレ…。
「じゃあこっちくれよ」
生田が意地悪な顔を見せる。
ピーマンの肉詰め。
風間はピーマンが苦手だと前に話していたから、契約日ではないから入れてきたのだ。
「俺、ピーマン好き!風間もこれなら文句なしだろ」
「あ、ちょっと待ってね」
俺はピーマンの肉詰めをとり生田に差し出そうとする。
「風間はピーマン食えないもんな」
煽られた風間はバカにするなとぱくり。
表示が一瞬。険しくなる。
ヒョイッとつまんでパクリ。
「あ…」
食べた。
「あー。なにすんだよ」
「風間、ピーマン…。食べちゃった」
大丈夫だろうか。
「風間、大丈夫?無理そうなら出していいからね」
風間は嫌いなピーマンを口にしたまま項垂れている。
大丈夫だろうか。
心配になって顔を覗き込む。
「え?マジかよ…。うまっ…。なにこれ。俺の知ってるピーマンの肉詰めじゃないんだけど」
「お弁当用だから。輪切りに詰めたんだ」
勿論俺が考えたレシピではない。
おかずのレパートリーを増やしたくて、俺自身もインスタで他の弁当アカウントをフォローしている。そこに出ているレシピの一つだ。
ピーマンの面積はぐんと狭くなり、ほぼ肉になるからピーマンが苦手な人や子供にも食べやすいのだとSNSに書いてあった。
俺が凄いわけではない。
それでも風間は驚いた表情をしばらく浮かべていた。
生まれて初めて。
まさに青天の霹靂すぎて、俺は返事をすることができなかった。
「あー。広瀬っち。大丈夫だったかー」
教室に戻ると、生田がいきなり現れて俺の肩に腕を回してきた。
「わあっ」
普段ぼっちの俺はビクッと過剰に反応してしまう。
「広瀬、悪かった」
クールな五十嵐が俺から絡まる生田を引き離してくれた。対応がスマートでこんな感じだから五十嵐も女子には人気がある。
「ただのかすり傷、大袈裟にごめんね。試合は…」
「勝ったよ」
一瞬、引き剥がされたことに不満顔の生田だったけど、この男。全く動じない。
「うっさいなぁ。五十嵐。行こ行こ広瀬」
すぐに切り替え、そして距離感ゼロ。
男に弁当作ってもらっている事で風間の株が下がるのではないかと思っていたのは完全な俺の思い込みだった。
「広瀬。マジ尊敬。俺なんて母ちゃんにおかず詰めるだけやれて言われるけどそれすら無理だし面倒くさいし」
生田はそう言って俺の背中をバシバシ叩く。
「風間ばっかずりーぞ。俺も手作り弁当食いたいぞー」
生田がグイグイ攻めてくる。
「えっと…」
困った俺は風間を振り替えった。
「だから知られたくなかったんだけど」
はあと息を吐く。
「俺と広瀬だけの秘密にしたかったんだけどな」
今まで日の目を見なかった俺の弁当。
ほんの些細なきっかけで、自分以外の人が食べてくれて、少し前まで信じられないけど友達までできてしまった。
「広瀬…マジハイスペじゃん。お前今までどこに潜んでたんだよ」
うるさく生田が絡んでくる。
このグループは生田が主にしゃべりたて、五十嵐は常に空気を静かに読む。風間は見た目からとっつきにくい印象だったのに、話してみたらとても優しかった。優しいし、周りを、俺を消して嫌な気持ちにさせない。言葉選びも秀逸だった。
今まで住む世界が違うと思っていたのに不思議なことにここはとても居心地のよい空間になっていた。
一緒にいるうちにすっかり俺も打ち解けていて、当初は周りから不思議がられた俺の存在も、3人のおかげで今は自然な空気が流れていた。
昼休み。
4人でいる時間もとても楽しい。
俺がなじめるように…風間がいつも気を配ってくれていたのに実は気づいていた。
生田は母親の弁当。五十嵐は売店のパンだった。弁当は空腹に耐えきれず早弁してしまったのだそうだ。
今日は契約の日ではないから、風間も五十嵐と売店でパンを購入していた。
あまりに風間が俺の弁当を褒め称えるものだから、本音は毎日に契約変更してもらって構わないのだが、自分から提案するのは何だか浮かれてしまいそうで言えなかった。
「な。広瀬。卵焼き一個頂戴。唐揚げやるからよ」
そして生田は人の懐に入るのが得意のようだ。
生田が弁当の蓋をこちらへ伸ばしてくる。ここに乗せろということだろう。
「いいよ」
俺は卵焼きを生田へ差し出そうとした。
「あ…」
俺の手を、風間が掴む。掴んでそのまま自分の口元へ。パクり。
「あー、俺の卵焼き〜」
悔しがる風間にフンとそっぽを向ける風間。
「チェッ、独り占めすんなし」
生田が拗ねる。
風間に取られた手が、まだ熱い。
一緒顔が近づいた時、ふわりと風間の香りがした。
ドキドキが止まらない。
なんだろ。コレ…。
「じゃあこっちくれよ」
生田が意地悪な顔を見せる。
ピーマンの肉詰め。
風間はピーマンが苦手だと前に話していたから、契約日ではないから入れてきたのだ。
「俺、ピーマン好き!風間もこれなら文句なしだろ」
「あ、ちょっと待ってね」
俺はピーマンの肉詰めをとり生田に差し出そうとする。
「風間はピーマン食えないもんな」
煽られた風間はバカにするなとぱくり。
表示が一瞬。険しくなる。
ヒョイッとつまんでパクリ。
「あ…」
食べた。
「あー。なにすんだよ」
「風間、ピーマン…。食べちゃった」
大丈夫だろうか。
「風間、大丈夫?無理そうなら出していいからね」
風間は嫌いなピーマンを口にしたまま項垂れている。
大丈夫だろうか。
心配になって顔を覗き込む。
「え?マジかよ…。うまっ…。なにこれ。俺の知ってるピーマンの肉詰めじゃないんだけど」
「お弁当用だから。輪切りに詰めたんだ」
勿論俺が考えたレシピではない。
おかずのレパートリーを増やしたくて、俺自身もインスタで他の弁当アカウントをフォローしている。そこに出ているレシピの一つだ。
ピーマンの面積はぐんと狭くなり、ほぼ肉になるからピーマンが苦手な人や子供にも食べやすいのだとSNSに書いてあった。
俺が凄いわけではない。
それでも風間は驚いた表情をしばらく浮かべていた。

