もし、もう一度生きれるなら、こんなクソみたいな場所じゃなくて、誰にも縛られずに、もっと自由で、誰かと笑い合えて、知らない景色を見て、どこまでも歩いてみたい。そう…もう一度生きれるなら、異世界で………………………。
老人はそのことを脳裏に浮かべながら、意識は途絶えた。
───そして。
冷たい風が頬を撫でるように吹いていた。
老人はゆっくりと目を開ける。雲一つない青い空が見え、鳥のさえずりが聞こえ、木々が規則的に生え、草の匂いがする。
「ここは……」
起き上がろうとすると、老人は違和感に気づいた。身体があまりにも軽かった。手を目の前に出す。
そこにあったのは、皺だらけの老人の手ではなく、白く、若い手であった。
「……なんだ、これ」
老人は立ち上がると、近くの水辺に駆け寄り、水面を覗き込んだ。
そこに映っていたのは──十代のほどの少年の姿で、黒髪に少しばかりかっこよさが増した顔であり、見覚えのない自分の姿であった。
「これが俺なのか?」
老人は呆然とした。
その瞬間──
目の前に画面が浮かび上がった。
