ヘソ天を夢見てる。

走ると顔に冷たい風が当たって痛い。
マフラーをしていないから首元が寒い。

河川敷の、東田さんと会った場所まで行って見渡すと、少し離れた場所にある積み重ねられた大きな石の端っこに東田さんが座っているのが見えた。

今度はじわりと目の奥が痛くなった。

「東田さんっ」

わたしの声に東田さんはこちらを向いて立ち上がった。

「わたしね、毎日のように後悔してる。昨日の夜はピーマンを茹でて、わちの分を避けてからツナ和えにしたんだけど、後になってもう少しわちの分を多めに取り分けておくべきだったと後悔した」

いきなりそんなことを言い出したのに、東田さんは笑ってくれた。

「俺はサンドイッチを作ろうとして、丸パンに切れ目を入れる時に少しそれが深くなって、具を挟んでる途中でパンが半分に切れてしまった。もっと慎重にすべきだったと後悔した」

「パンが半分に分かれちゃうと、食べる時にトマトの水分が垂れちゃうから困るよね」

「サンドイッチにトマトは……入れないかな」

「わたしも最近は入れない。それはうちの包丁の切れ味のせいなんだけど」

「だったら、うちにサンドイッチを作りに来たらいいよ。うちの包丁はよく切れるから。まずはトマトの栽培から始める? パンも焼くところから?」

「意地悪」

わたしがなかなか言い出せない一言のために、遠回りの会話に付き合ってくれるひとは他にいない。

「さっきは、逃げてごめんなさい。もう一度、東田さんの話を聞かせて」