ヘソ天を夢見てる。

コンビニから帰って、マフラーを外しながら「ただいま」と声をかけたけれど、わちは顔を出さない。
わたしが帰宅したからといって、いつも駆け寄って来るような子ではないけれど……

部屋の中は暖かくて、ついさっきまでひとりだったのだから、怖いものも警戒するものも何もない。ここは安全な場所。姿も見せないということはきっと爆睡している。
わちは時々、4本の足をピッタリと揃えて横向きに寝ている。その写真はまだないので、もしその格好をしていたら写真に撮りたい。

印刷してきた絵葉書をテーブルに置いて、音を立てないようにそっとわちのベッドがある場所へ向かった。
でも、わちはベッドにいない。

どこにいるのかと見渡すと、わたしが畳んで隅に置いていた膝掛けをうまい具合にぐちゃっとしてその上で――

わちはお腹を上にして、ヘソ天で寝ていた。

その姿をじっと見つめていると、気配を感じたのか、わちは一度目を開けた。そしてはっきりとわたしを見て起き上がりかけたのだけれど、再び横になり、体をくねくねと数回動かしてから、またお腹を上にしたポーズでわたしをじっと見つめた。

わちがわたしの目の前で、へそ天のままでいる。

それはずっと見たいと願っていたことで、他のワンコなら普通かもしれないけれど……


今日、絵葉書が届いて、そこに虹を見た。
今日、初めてわちのへそ天を見た。
今日は――今日は特別な日で、こんな日に後悔したくない。

東田さんは「待ってる」と言った。
それは普通に考えれば言葉通りの意味じゃない。
会ってからもうかなりの時間が経っている。でも、なぜか、東田さんはその場で待っている気がした。

「わち、お留守番しててね」

わちに声をかけて、もう一度、急いでアパートを出た。


ちゃんと話を聞かないといけない。
自分の思ってることを伝えないと。

また、同じ失敗をしてしまう。