ヘソ天を夢見てる。

「樋野晶って、亡くなったの?」

偶然耳にしたその言葉に、心臓がどくんと大きな音をたてた。


樋野晶って、あの樋野晶のこと?
それはいつの話?


友達の小箱菫に誘われて来た合コンで、まさか知っている名前を聞くとは思いもしなかった。

「ねぇ、優希は何飲む?」

飲み物なんてどうでもいい。
隣のテーブルから聞こえてくる会話を聞き逃したくない。

「菫に任せる」

「OK」

ずっと心臓がばくばくいっている。

もっと話が聞きたいのに、それ以上は声が小さくて何を話しているのかわからなかった。
ここがその辺の居酒屋だったり、カフェだったりしたら、隣との席も近いだろうから、よっぽど声を落とさない限りは聞こえたかもしれない。
でも菫が選んだこのお店はテーブルとテーブルの間隔が広いし、大声で話すような客はいない。
最初の一言が聞こえたのは、驚いて思わず声が大きくなった、というところ。


「樋野晶」なんてよくある名前じゃない。
きっと本人で間違いない。


東田くんのそばには、いつも彼女の存在があった。