ヘソ天を夢見てる。

初めて伺ったお宅でコーヒーまで飲んで、すっかり長居をしてしまった。

「そろそろ、帰ります。わちの散歩もあるから」

「浅葱さん」

ソファから立ち上がったところで、呼あび止められた。

「見てもらいたものがあるんですけど」

東田さんはキャビネットの上に置いていたスマホを取りに行くと、立ったままでいたわたしにその画面を向けた。

「このアカウントの人は知り合いですか?」

「SNS?」

見せられた写真アプリのページには料理の写真が並んでいて、それは――

「……見せてください……」

スマホを受け取り、自分でその写真をスワイプしていった。


投稿されていたのは全部、わたしが梶井くんのために作った料理の写真で、同じものが梶井くんのスマホのアルバムにも残っていたのを覚えている。
でも、厳密には全く同じというわけじゃない。
写真アプリのページに投稿された写真には、ふたり分の料理が写っていて、それは確かにその時、わたしが一緒にいたという証で――

最後に投稿された写真を指でなぞった。

梶井くんと最後にふたりで食べたのは、唐揚げで……それは梶井くんに初めて作ったもので……梶井くんはわたしが作るものの中で一番好きだと……


「この『#彼女』って……やっぱり……浅葱さん……?」


ようやく、東田さんの脈絡がないように思えた質問の意図を理解した。
東田さんは、写真アプリに投稿された料理がわたしの作ったものなのか、確認してたんだ。