ヘソ天を夢見てる。

ご飯が炊けたことを知らせる短い音楽が鳴ったので、炊飯器を開けると、焼き栗のいい香りがした。

「焼き栗、いいですね」

一緒に炊飯器を覗き込んでいた東田さんも嬉しそう。

「ですよね! 母に教えてもらって、わたしもそのレシピが載っていたサイトはよく使ってるんです」

「良かったら、これからも料理を教えてください」

「教えるようなことは何も……東田さんは自分で出来るひとでしょ? 調理器具だってわたしのうちよりたくさんあるし、包丁を使うのも上手」

「俺のは、こうじゃなきゃダメだ、みたいなのがあって。味噌汁の出汁はカツオから取らないといけない、調味料はきっちり計らないとダメ、みたいな。最初の失敗体験が尾を引いてるのかもしれません」

「失敗?」

「初めてオムライスを作った時に、ケチャップライスはフライパンにくっつくし、卵もふわふわにはならず、包むことも出来なくて」

「わたしは初めて作ったのがほうれん草の胡麻和えで、茹ですぎて絞ったら手の中でほうれん草が溶けたみたいになりました」

そこから、失敗談を披露する競争みたいなものが始まった。



テーブルの上には、焼き栗の玄米ご飯とかぼちゃのいとこ煮、かぼちゃのサラダ、そしてカットされていないアスパラの豚肉巻き――

「どうしてかぼちゃと小豆でいとこ煮なんでしょう?」


同じ質問を梶井くんにもされた。
梶井くんとはそこから親子丼と他人丼の話になって……


「浅葱さん?」

「あ、ごめんなさい。ちょとぼんやりしてました」

「食べましょうか?」

「食べたいです。実はお腹が空いてて」

「同じです」


ふたりで手を合わせて「いただきます」を言った。