ヘソ天を夢見てる。

東田さんは本当に他人の手が必要だったのかと思うくらい、慣れた手つきで栗の皮を剥いでいく。
油断すると負けそう。(勝ち負けなんてないんだけど)
ふたりがかりなのでボウルの中の栗がどんどん減っていく。

「東田さんは料理が得意なんですね」

「得意というか……割と好きな方で。でも仕事が捗ってない時は外食が多くなるんです。早江さんはそれを知ってるから」

それで配達。
早江さんに指示されたメニューが野菜ばっかりだったのは、東田さんの健康を考えてのこと。

「実家に帰ればいいことなんだろうけど……まぁ……そこはいろいろ。浅葱さんは、にんじんやアスパラを豚肉で巻いたものを何て呼びますか?」

急に話を変えられてしまった。

「肉巻き巻き」

しまった……
実家にいる時、母が「巻き巻き」といつも2回言ってたからクセになっていたのだけど、普通は「肉巻き」と言うんだった。
わたしが「肉巻き巻き」と言うと梶井くんはいつも笑っていた。

「朝のうちにアスパラを茹でておいたので、後で作ります」

東田さんは「巻き巻き」をスルーして、アスパラの肉巻きを作るという決意表明?をするにとどまった。

「シチューを作る時はマカロニを入れますか?」

また質問。
もしかしてシチューが食べたかったとか?

「どうしてそんなことを聞くんですか?」

「教えてください」

東田さんは至って真剣という表情をしているけれど、どうしてそんなことが気になるのかわからない。

「入れますけど、それが何かあるんですか?」

わたしの質問はスルーで、東田さんはまた質問を投げかけてきた。

「サヨリのフライも作る?」

「はい。きれいに捌くと、揚げた時に身と皮の間に空気が入ってぷくっとなるんですよ」

東田さんは聞くだけ聞くと黙り込んでしまった。


何か変なことを言ってしまった……?