ヘソ天を夢見てる。

待受にしているわちの写真を見せると、香月さんは「イケメンくんだね」と言った後に「男の子で合ってた?」と付け加えた。

「男の子で合ってます」

「何かに怒ってる顔?」

「怒ってるみたいですよね。でもいつもこんな顔です。多分マロの形でそう見えるだけかと。眠そうな時は目が細くなるから更に怒ってるみたいに見えます」

わちのことで急に饒舌になったわたしに、香月さんは呆気に取られたような表情を見せた。

「なんだ、よく喋るじゃん。橘が浅葱さんは無口だって言うから、そうなのかと思った」

「……すみません」

「うちの子はアウトドアが好きで、先週は友人達とグランピングへ行ったんだけど、一緒に連れて行って――」

そう話しながら、香月さんは再びスマホをわたしに向けた。
見せられたのはワンコとフリスピーをしている動画で、ゴージャスなワンコが優雅にジャンプしてフリスピーをキャッチすると、すぐに走って来て尻尾を千切れんばかりにブンブンと振り、「褒めて」とアピールしている。

「尻尾を振る子なんですね」

無意識に出た言葉に香月さんは「犬はみんな尻尾を振るでしょ」と笑った。

「うちの子は振らないんです」

「それ、変じゃない?」

わちはどこか他の犬と違う。
どちらかというとひとりでいるのが好きで、警戒心もかなり強め。心を許すまでかなりの時間がかかる。

「尻尾を振らない犬でもかわいい?」

尻尾を振らないことなんて関係ない。
いろんな子がいると思う。
みんながみんな誰とでも仲良くできるわけじゃない。

「……わたしには……大切な子だから……」

「浅葱さんは本当に小箱の友達……? 浅葱さんだけ雰囲気違うよね」

その質問には答えずらくて、へろりと笑みを返した。