ヘソ天を夢見てる。

私が自分の部屋で過ごしている時間、成は私の知らない場所で知らない人達と過ごしている。

向かいの窓のカーテンが開くことはない。
夜になっても部屋に明かりが灯ることもない。
それがこんなに寂しいことだとは思ってもみなかった。


「長期休暇には帰ってくる」と言っていた成は、課題やら、先輩の個展の手伝いやら、バイトやら……寝るまもないくらい忙しいらしく、私の19歳の誕生日は、「おめでとう」の電話だった。
夏休みもお盆の3日間しか帰って来なかったけれど、誕生日からぴったり1ヶ月後の8月16日に、cielでお祝いをしてくれた。

「晶、来年の20歳の誕生日は期待してて」

「そんなこと言ったら本当に期待しちゃうからね」


何もいらないよ。
成と一緒にいられたら他には何もいらない。


「晶の誕生日は何の日か知ってる?」

「何それ? 11月11日がポッキーの日、みたいなやつ?」

「7月16日は虹の日だってさ。人の心が虹の架け橋によって結びつくように、という願いが込められてるらしい。希望の象徴って」

「成の誕生日は?」

「俺のは……おにぎりの日」

「す、素敵だね」

「笑うな!」

「だって――」



秋休みも冬休みも、春休みも、成は帰って来なかったけれど、いつまでも待っていられる。


迷っていた成の背中を押したのは私。

成が幸せになるためなら――


私は成の背中を何度でも押すよ。


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