ヘソ天を夢見てる。

信号待ちで立ち止まったふたりの影が寄り添うように、ほんの少しだけ後ろに下がった。
いつかこんなふうになれたらいいのに。

「晶――」

見上げるといつになく真剣な表情をした成がいて、どくんと心臓の音が大きくなった。

「俺さ……」

歩行者側の信号が青になって、周りの人が横断歩道を渡り始めても、成はその場から動こうとしない。
この瞬間、周りの音が消え、ふたりの間だけ時間が止まった。


もしかして……?


「……俺……」

心臓がどんどん早くなっていく。

「……俺、行きたい大学があるんだ」

大学? 大学のこと? 
一瞬でも期待した自分が恥ずかしい。

「うん。どうしたの? そんなに改まって」

「あ……渡らないと……」

先に歩き始めたのは成だった。
その後ろを少し遅れる形でついて行った。

「……でもまだ迷ってる……」

「どうして?」

「家を出ることになる。それに……父さんは絶対に反対する。堅実なのが一番だと思ってるとこあるから」

「それは、絵に関係すこと?」

信号を渡り切ったところで成は立ち止まり、私に背を向けたまま小さく頷くと言った。

「デザインの勉強をしたい。卒業した先輩の行ってる大学へ見学に行かせてもらって、そこで俺も学びたいと思った。話すのは晶が初めて」

成がいつそんな行動を起こしていたのか、ちっとも気づかなかった。

私達は付き合ってわけじゃないし、お互いのことを何もかも知ってるわけじゃない。私に話す義理もない。それでも話してくれた。それも1番に!

「自分を信じて! 私は成が絶対に成功するって信じてるよ」

ドンっと背中を軽く押すと、つんのめるように一歩前に出てから、成は振り向いた。

その顔を見て、私は自分が言ったことは間違っていなかったと確信した。
成は恥ずかしそうでいながら、とても嬉しそうだった。