ヘソ天を夢見てる。

成が連れて行ってくれたのは、駅前にある商店街の一番端っこに新しく出来たcielという名前の洋食屋さんだった。

ファストフード以外のお店にふたりで行くのは初めてで、緊張していることが成にバレませんように、と心の中で何度も唱えながら平静を装った。


お店の中は、壁に沿ったソファに温かみのある木製のテーブルが配置されていて、壁のあちこちにはスワッグが飾られている。
スタッフは女性が1人いるだけで、そのひとが窓際の席へ案内してくれた。年齢は自分の母親よりだいぶ上に見えたけれど、女優さんみたいにきれいなひと。

「さっきのひとが奥さんで、カウンターの向こうにいる金髪で青い目の男性がご主人」

「どうしてそんなこと知ってるの?」

「SNSで見た」

テーブルに置かれたメニューはアンティークな絵本のようになっていて、ディナーはさすがにお高めの値段設定だったけれど、ランチは高校生でも手が届くくらいでほっとした。

「素敵なお店だね。メニューもかわいい」

「晶が好きそうだと思ったから、ふたりで来たかった」


私ばっかりどきどきさせられて、成はずるい。

いつからだろう……?
成の何気ない言葉に一喜一憂して、その無意識な仕草に心臓の音がうるさくなり始めたのは……


窓の外を見ている成の横顔がきれいで、このまま時間が止まってしまえばいいのにと思った。

幸せだった。

成と永遠に会えなくなる未来なんて想像もしていなかった。