その日の夜、成がいつものようにベランダをジャンプして私の部屋へやって来た。
「晶からチョコもらってない」
「あー、忘れてた」
「ちょうだい」
成に渡すつもりだったものは昼休憩に邑子と食べてしまったので、12個用意していた友チョコのうち、残しておいた1つを渡した。
ハート型をしたごく普通の板チョコが、透明な袋に入っていて赤いリボンが付いているだけのもの。
「今年はもらえないのかと思った」
成は友達に配ったのと同じチョコだったのに、それを受け取ると頬をゆるめて私を見た。
そんな顔をするから勘違いしそうになるんだよ。
「食っていい?」
「どうぞ」
成がチョコを大事そうに食べるのを見て、目の奥からじわっと何かが込み上げてきた。今泣いたら理由を聞かれる。目にゴミが入ったとか陳腐な言い訳なんて成は信じない。
「晶……」
「な、何?」
「欲しいなら言えよ」
かじりかけのチョコを差し出され一口かじった。
私がかじった後のチョコをまた成が食べる。
「よく考えたら、これは俺がもらったものだった。何で晶が食べんの?」
「自分がくれたんじゃん」
バシンと腕を叩いたのに、「お返し期待しといて」と言って成は笑った。
「晶からチョコもらってない」
「あー、忘れてた」
「ちょうだい」
成に渡すつもりだったものは昼休憩に邑子と食べてしまったので、12個用意していた友チョコのうち、残しておいた1つを渡した。
ハート型をしたごく普通の板チョコが、透明な袋に入っていて赤いリボンが付いているだけのもの。
「今年はもらえないのかと思った」
成は友達に配ったのと同じチョコだったのに、それを受け取ると頬をゆるめて私を見た。
そんな顔をするから勘違いしそうになるんだよ。
「食っていい?」
「どうぞ」
成がチョコを大事そうに食べるのを見て、目の奥からじわっと何かが込み上げてきた。今泣いたら理由を聞かれる。目にゴミが入ったとか陳腐な言い訳なんて成は信じない。
「晶……」
「な、何?」
「欲しいなら言えよ」
かじりかけのチョコを差し出され一口かじった。
私がかじった後のチョコをまた成が食べる。
「よく考えたら、これは俺がもらったものだった。何で晶が食べんの?」
「自分がくれたんじゃん」
バシンと腕を叩いたのに、「お返し期待しといて」と言って成は笑った。



