ヘソ天を夢見てる。

晶に「彼氏ができた」と告げられた時、すぐに晶のところへ行って、自分の気持ちを伝えれば良かった。

『そんなやつやめとけ。俺が晶を幸せにする』

心の中で思っていたことを伝えれば良かった。
そうすれば、もっと長く晶と同じ時間を過ごすことが出来たのに、臆病な俺はそうしなかった。


晶が「少しの間なら手伝ってもいいよ」と事務作業の手伝いを申し出てくれた時も、「フルタイムは嫌」「好きな時間に来て好きな時間に帰りたい」「休みたい時に休む」という条件をおかしいと思うべきだった。

体力が……もたなかったんだと……今ならわかる。晶は残り少ない自分の時間を自分のために使うのではなく、俺のために使ってくれたというのに、そんなことは気づきもしなかったから……

『なんだよ? そのわがままな条件は』

『基調な時間をさいて手伝ってあげるの! ありがたいと思いなよ』

『ちゃんとバイト代出すよ。人ひとりくらい雇えるだけの収入はあるんだから、何なら正社員として――』

『もうすぐ結婚するの。普通に働いたら手続きが面倒だし、他にやることがいっぱいあって忙しい。成のことはあくまで片手間ってこと』

『なんだ……そっか……オメデト』

俺は、体のあちこちを癌に蝕まれ、抗がん剤の副作用に苦しんでいた晶に「おめでとう」と言ったことになる。

それなのに晶は笑った。

『成のこと心配だから、私がいる間に早くちゃんとした人を雇ってよね』



腕の中で眠る晶は、俺にその体を預けるようにして静かに眠っている。


なぁ、あとどのくらい一緒にいられる時間は残されてる?