ヘソ天を夢見てる。

晶の母親は昔からいけばなを習っていて、毎週火曜日の午後は教室へ通っている。
駅前のカフェで晶の母親が通るのを待って、偶然を装い声をかけた。

「おばさん、お久しぶりです」

「あらぁ、一成くんじゃない。こんなところで会うなんて偶然ね」

「俺もびっくりしました」

「たまには家へ帰ってあげなさいよ。お父さんもお母さんも喜ぶわよ」

「俺のことより……晶のこと……聞きました」

静かに、言葉を濁すように話をふると、おばさんの顔が曇った。

「……そう……一成くんにもとうとう言ったのね。言わないわけにはいかないわよね……」

「どうして……」

曖昧な相槌を入れ、おばさんが話すのを待っていると、おばさんは俯いて小さなため息をついた。

「……そうよね。本当にどうしてあの子が……子供が親より長生き出来ないなんて、そんな理不尽なことがどうしてあるのか……」


今……何って言った?


「理不尽……ですよね」

「一成くんのとこへ行くの楽しそうにしてるの。迷惑かもしれないけれど、そんなに長くは……嫌だ、ごめんなさい。こんな弱気になったらだめよね」


長くは……?


「俺の方が助けられてますから」

「ふたりは昔から仲良かったものね……いつか晶が一成くんと……そんな夢を見てたんだけど……ごめんなさい、私ったら。晶のこと、お願いね」

涙を目に浮かべたおばさんは「泣いたってもうどうにもならないのに」と言いながらハンカチを出して目頭を抑えた。


おばさんと別れた後もしばらくその場から動けなかった。
晶が俺に隠していた秘密は……つまり……おばさんの言葉が意味するところは……