ヘソ天を夢見てる。

「成は早く仕事手伝ってくれる人見つけないと、もうすぐ私はいなくなるんだから。この間面接に来た子は何がダメだったの?」

「忘れた」









どれも明確に違うというのに、面接に来た既に名前も覚えていないやつは、俺のデザインした洋菓子のパッケージを「きれいなあお色ですよね」とひとくくりに表現した。それから自分のデザインに対する思い入れを、聞いてもいないのにペラペラと語り始めた。
その全てが、一日中同じ空間を一緒に過ごす相手として受け入れ難かった。


「晶のこと、海外まで追いかけて行こうかな」

「ばかなことばかり言ってると、嫌いな事務仕事を自分でやることになるよ?」


本気だと言ったらどうする?
今ここで晶を抱きしめて、「結婚なんかするな」と言ったら?
「ずっと好きだった」と言ったら?

なんて……晶を困らせることがわかっているから言えるわけがない。


「なぁ、一度くらい相手に会わせろよ。大切な幼馴染がどんなやつと結婚するのかくらい知りたいだろ?」

「嫌っ。だって『俺は賞をいくつもとった有名デザイナーだ』って、絶対変なマウントとるでしょ? 感じ悪いもん」


晶に相応しいやつなのか、この目で確かめたいだけだよ。
幸せになって欲しいんだ。
ずっと笑っていて欲しいんだ。


「俺が権威ある賞をWで受賞したのは事実じゃん」

「そーゆーとこが嫌味なの!」

「せめて写真くらい見せろよ。そのくらいならいいだろ?」

「……んー……考えとく」

「なんだよ、それ。あんまりじらすと晶の実家に居座るからな」

「私のことより、まずは成の方が先でしょ? 仕事するよ! 晶様が貴重な時間をさいて来てるんだからね!」

晶は話しながらも、ずっと手にしていた俺のスマホをようやく机に置くと、ノートPCに向かった。