梶井くんが初めてマンションに来た日、うちに小さいながらも精米器があることに驚いていた。
『もしかして……毎回食べる前に精米してる?』
『え? うん』
実家ではその日食べる分を炊く前に精米していたから同じことをしていただけだったのに、更に驚かれた。
精米したてのお米を土鍋で炊いて出すと、梶井くんは「これ美味すぎる。米だけで何杯もいける」と、よくおかわりをした。
そんな彼を見ていると、両親まで褒めてもらえたみたいでわたしまで嬉しくなった。
家を引っ越しても、時間がどれだけ経っても、ふとした瞬間に梶井くんのことを思い出す。
「想世、いつでも帰って来ていいんだからね」
わたしが会社を辞めたことを告げた時、お母さんは「まぁ」と言ったけで理由は聞かなかった。
ただ、こうして宅急便のお礼に電話をすると、わたしにはいつでも帰る場所があると言ってくれる。
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「うん。じゃあ、またね」
「おやすみなさい」
電話を切ると、ずっと膝の上で丸くなっていたわちが顔を上げた。
せっかく眠っているところを起こしたくなくて、足が痺れてきたのを我慢していたのだけれど、頭の上でスマホが動いたことが怖かったのか、立ち上がって自分のベッドへ行ってしまった。
わちはなかなか手強い。
でも、少しづつ心の距離は近づいている気がする。
『もしかして……毎回食べる前に精米してる?』
『え? うん』
実家ではその日食べる分を炊く前に精米していたから同じことをしていただけだったのに、更に驚かれた。
精米したてのお米を土鍋で炊いて出すと、梶井くんは「これ美味すぎる。米だけで何杯もいける」と、よくおかわりをした。
そんな彼を見ていると、両親まで褒めてもらえたみたいでわたしまで嬉しくなった。
家を引っ越しても、時間がどれだけ経っても、ふとした瞬間に梶井くんのことを思い出す。
「想世、いつでも帰って来ていいんだからね」
わたしが会社を辞めたことを告げた時、お母さんは「まぁ」と言ったけで理由は聞かなかった。
ただ、こうして宅急便のお礼に電話をすると、わたしにはいつでも帰る場所があると言ってくれる。
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「うん。じゃあ、またね」
「おやすみなさい」
電話を切ると、ずっと膝の上で丸くなっていたわちが顔を上げた。
せっかく眠っているところを起こしたくなくて、足が痺れてきたのを我慢していたのだけれど、頭の上でスマホが動いたことが怖かったのか、立ち上がって自分のベッドへ行ってしまった。
わちはなかなか手強い。
でも、少しづつ心の距離は近づいている気がする。



